「ゼェ、ゼェ…た、太一さんやっぱ…ハァッ、スゲェわ…」

「ったり前だろ。現役エースなめんなよ」

 
 中2の太一さんには手も足も出なかったけど、小5の太一さんならもしかして…っと淡い期待をしていた1時間前の俺に一言物申す。

 無謀だ。

 俺が女になってるからとか、そういうの抜きで強かった。
 ボールのさばき方、咄嗟の判断力、それに応えるだけの反射神経。
 どれも太一さんの方が何倍も上だ。


「あー悔しい!!」

「大輔は単調だから読みやすいんだよ。もっとフェイントの技術磨け」

「…俺、そんなに分かりやすいですか?」

「あぁ。顔にでかでかと宣言してるレベルだ」

「だぁぁぁッ悔しいいい! 太一さん!リベンジ!」

「却下。少し休まねーと脱水症状になるぞ」


 なんて言いながら草はらに倒れ込む。
 ちぇ、もうちょい動き回りたかったのになー
 仕方ない。ここで駄々こねても無意味なのは経験上分かっている。諦めて太一さんの横に座りだした


「大輔、身体は大丈夫か?」

「はい。これと言ったのは特に…」

「何か異変あればすぐに言えよ」

「太一さんは心配しすぎッスよ」

「お前の“大丈夫”“平気”は信用できねーからだ」

「えーそりゃないッスよ」


 この人は逆に言わないから困る。
 悩みや考え事など、全部自分ひとりでひとつひとつ解決していく
 太一さんらしいが、俺を全く頼ってくれなくて寂しいと思うのもまた事実 


(そのくせ俺の悩みには首突っこもうとするんだ。ズリィよなぁ)

「ふぁあ、やべ、眠くなってきた…」

「風気持ちいっすからねー」


 心地よい風にぽかぽか暖かい太陽。まさに絶好のひなたぼっこだ


「こんなに気持ちいいと眠くなりますよねーって…あれ?」

「すぅー…すぅー…」

「ぷっ、太一さん寝るの早すぎ」


 疲れがたまってたのかな?
 ならこれを機にいっぱい休んでください。


「そうだ、どうせなら…」


 起こさないよう細心の注意を払いつつ、太一さんの頭を膝の上に置いた。
 地面に比べたら、いくらかはマシになるはずだ


(普段は恥ずかしくて出来ないけど、今はふたりっきりだし…)


 女の子になって最初はどうしようかと戸惑ったけど
 こうやってふたりっきりの機会ができ、念願でもある膝枕もできたし…まぁ結果オーライってことだな



「おやすみ、太一さん」



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「……実に惜しい」


 最初は女の子になった大輔を堪能しようかなんて考えてたが
 まさか俺が先に寝ちまうとは、本当に惜しいことをした。


「けど…ま、いっか」


 なにせ大輔が膝枕してくれているのだ。
 たまにはこういうのもありだろ


「サンキュ、大輔」



よい夢を
まぁこのまま昼寝続行か否かは分からないけど
あんま女体化要素生かしてないのが悔しい。最後の最後で太一さんの狼部分を出してしまった。てへぺろ


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