*Attention*
・グロ&死ネタ表現あります。
・配役
 天羽奏=大門大(死亡フラグ)
 風鳴翼=神原拓也
 立花響=八神太一

・この時点で嫌悪感が出たらすぐ戻ってください。





「ウソだろ、なんで…ッ」
 

 さっきまでライブで盛り上がっていたはずの会場が、瓦礫で崩れ、炭素の塊となった黒い煤が風に流れている

 ノイズが襲撃してきたんだ。
 
 ノイズに触れてしまうと、身体は炭素に転換され死んでしまう。
 風に流されているこの黒い煤が、さっきまで一緒に盛り上がってた人間の一部なんて…


「逃げなきゃ…、クソッ、足震えんな!動けよッ!!」


 俺はまだ死にたくねェ!
 だから動けよ!頼むよ!まだ、大と直接喋ってねぇんだ!
 ここで死んだら、アイツの歌も、タイキとくだらない喧嘩もできなくなるんだッ!


 ピシシッ!


「生き残るんだ、絶対に!」


 ピシッ!ガラガラァァアッ!


「な、わ、うあああああッ!!!」


 ダァアアンッ!


 足場が崩れ、落ちてしまった。幸い瓦礫の下敷きにはならなかったが…


「痛ッ!足が…ッ! はッ!」


 さっきの音でノイズがこっちに気づいたんだ。
 ヤバい、近づいてくるッ!来るな、来るなッ!


「太一ィイ!」


 ズザァンッ!


「え、ま、…さる…?」


 ノイズを槍で貫いたのは、橙の鎧を身に纏った大だった。
 俺の方を一瞬だけ見ると、大声で「走れッ!」と叫びだす


「逃げろ!早く!!」

「――ッ!お前はどうすんだよッ!?」

「コイツらを倒すのが、俺の役目だァ!」


 そう吼え、槍を構えノイズへと突撃していく
 倒すって何言ってんだよ。何でお前がこんなことしてんだよ!


「大ッ!」

「無茶するなッ!今のお前は―ッ!!」


 横から大を心配する声が聞こえた。
 赤い鎧を纏い、剣を振るう少年―ツヴァイウィングの神原拓也―だ。
 勇敢に戦いつつ、大を心配しているのがすぐ分かった。


「拓也!お前こそテメェの心配しろッ!」


 ギィィイン


「ッ!? チッ、時限式は此処までかよ…!」

「大ッ!」

「太一、逃げろっつたろ!?」

「お前を残して逃げられるかッ!」


 一瞬、大が纏っていた鎧の色が暗くなり、槍の動力源と思われる部分の光が絶えた
 それがどういう意味なのかは分からないが、とにかくこのまま大を残して逃げるなんてこと出来なかった

 近寄ろうと走り出すが、巨大ノイズが大を襲いだす


「ん、グッ!ぁぁあああッ!」

「大ッ!!」

「平、気だッ! 太一、逃げろ…ッ!」


 吐き出す何かを必死に槍で防ぐ。
 しかし1体、また1体と巨大ノイズが大目掛けて放たれる
 槍も、鎧も、音を立てて崩れていくのが分かる。砕けるのも時間の問題だ


「大ッ!もう、もう逃げろ!」

「ざ、けんな…!俺は、俺はァッ!ぬぁぁあああああッ!!」 


 バキィイ!


 鎧が、砕けた


 ブシャア


「―――、え?」


 何が、起きたんだ?血?誰の?俺、の…?


「おい太一!太一!頼む死ぬな、目を開けてくれ!生きるのを諦めるなッ!!


 大…お前こそボロボロじゃねぇか
 そっか、お前の鎧の欠片、刺さっちまったのか
 そりゃ仕方ねぇか、あんだけ近かったんだ。俺を守るために必死に…

 なら余計に、ここで死ぬわけにはいかねぇよな


「…だ、いじょ…ぅ」

「太一…よかった」


 霞む視界の中で、アイツの顔を見た。
 涙を一粒流し、何かを決意した顔…

「いつか、心と体、全部空っぽにして、思いっきり歌いたかったんだよな
 今日はこんなにたくさんの連中が聞いてくれるんだ。
 だから俺も、出し惜しみなしでいく。とっておきをくれてやる」



 絶唱



「止めろ大!歌うなああ!」


 少年は涙を流しながら止めようとする
 けど大は、微笑みながら…唄い出した。


 Gatrandis babel ziggurat edenal

  Emustolronzen fine el baral zizzl
  

(うたが…きこ、える)


 Gatrandis babel ziggurat edenal  

  Emustolronzen fine el zizzl


 ―そうさ、命を燃やす最期の歌


 この後のことは正直あまり覚えていない。
 薄れた意識の中覚えているのは、ノイズが一掃されたことと

 大が神原拓也の腕の中で、塵となり消えて逝ったことだけ

そして2年後、物語が始まる
Sing out with us

予想以上に長くなってしまったスミマセン。残ったのは直前に渡されたペンダントだけで、拓也は形見としていつも持ち歩いています


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