※拓啓


季節も残暑に入りだした頃、啓人は深夜遅く一人でアジト内を歩いていた
端にトイレに行くだけだが

「う、うぅぅ…っ、こ、わくない…こわくない…っ」

普段なら啓人もここまで怯えることなくトイレに行ける。しかし今回は分が悪かった
寝る前にホラー映画を2本連続で視聴してしまい、恐怖心がマッハでやばいことになっている

 ピチャ…ピチャ…

「な、なにっ?!」

水が垂れる音が廊下に響き渡る。恐怖のあまり立ち止まってしまうが、それをすぐに後悔した
彼の目には、白い着物を着た少女が――…

「う、うわぁぁぁあああっ!!!」

 ダダダダッ!

啓人は走った、力の限り叫んだ。
最早、深夜とか睡眠妨害とかそんなこと考える余裕もない
無我夢中で走りたどり着いた部屋に入ると、その勢いのままベッドに飛び込む

「拓也くんんんんっ!(どさぁ!)」
「いでででででっ!!な、誰だよいったいッ!!」
「無理無理怖い怖いこわいっ!しろっ、しろ、きもの、女の子っ!」
「は?啓人?」
「み、水の音もして、寒くて、女の子が…!こわいよぉお〜」
「おお落ち着けっ落ち着くんだ啓人!」

啓人が震えながらしゃべる内容を聞き取りなんとなく把握できた拓也
しかし彼自身も隠れホラー苦手だったため、突然のホラーに怯えそうになる
だがここで自分まで怖がってはダメだと瞬時に察した

「大丈夫だって、怖くないぞ」
「でも僕、み、視ちゃったんだよ?!」
「だーかーら大丈夫だって気にするな。オレが傍にいるんだから怖くないだろ?」
「う、うん…ごめんね拓也君。迷惑かけて」
「迷惑じゃない。ほら、こうやって手つないでやっから」

ぎゅっと握ってくれる手が暖かく、漸く啓人は震える身体を押さえることができた

「ありがとう…拓也君」
「どういたしまして」

さ、それじゃ寝なおすぞ。一緒に寝てやるからさ
そう言いつつ布団にもぐろうとする拓也だが、握っていた手がきゅっと強まることに気づく
恐る恐る啓人へと視線を戻すと先程とは違う切羽詰った顔をしていた

「トイレ…一緒について来てほしい…です」



断れることもできなくて
ぜ、絶対帰らないでよ!?絶対だよ!?
いいから早くすませろ!!早く戻らせろ!!

この2人も可愛い組み合わせですよね!歴代組CPはもっと増えていいと思う!!


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