※6月21日昼の14時頃に起きた実録ネタです。 ※太一さん=私 ※モブおばちゃん登場します 事故った俺が病院前に連れて行かれた場所。 そこは……寺だった。 「へ?え、寺?なんで?」 ここは俺の家から駅までの通り道で見かける寺だった。 いつも此処を通る度になんの寺だ?と疑問に思っていたが、まさか入る日がやってくるとは… 「さぁ入って。大丈夫、中の人たちは気にしなくていいですよ。無視してくださって結構です」 「はぁ…(…俺、なにされるんだろう)」 不安が増える一方だが、なんとか堪えて中へと入った。 「まずは手と口を洗ってくれる?」 「はい」 「神様って知ってるよね?いまからその神様に逢いに行くから清めないと」 「は、はぁ…」 やばい超逃げたい。もう病院とか良いから今すぐダッシュで逃げたい。なにこの人真顔で神様とか言ってるの? いや、信仰するのはいいと思うんだ、うん。自由だし、だけど… 「それじゃ中に入るわよ」 ガラッ 襖をあけると、中は広い和室だった。 ただ、二人一組となって整体もどきのことをやっているのが気になる。 ここは何なんだ?宗教なのか? 「まずは目の前にある仏様にご挨拶をします。私と同じことをやってください」 正座することでちょっと痛みが走るが、むしろ今はその痛みを喜んで受け入れていた。 いやだって、この空気怖い。正気を保つためにあえて正座を選ぶよ俺は。今だけドMと称されてもいい 3礼3拍をし最後に1礼をする。この時Aさんが頭を上げなかったので不思議に思い同じように上げず待っていたら… 「――――――、――――。――――、――――――。―――、――――、―――――――」 (え?!何言ってるの!?お経?念仏!?早口で全く聞きとれねェェェェェ!!) 高速呪文詠唱をしだしたAさん。それだけでビクゥッ!と肩が揺れたのは此処だけの話だ 不意打ちすぎてビビった。Aさんの高速呪文詠唱が終わると今度は座禅もどきをやらされた 「では手をこのように組んで、10分間目を閉じてください」 「(10分!?)は、はぁ…」 「リラックスしてください…大丈夫ですよぉ…」 言われた通り目を瞑ったが、正直俺は気が気じゃなかった。 交通事故からのこの展開、果たして誰が予想できただろうか? しかもコレ、言い忘れたけど寺に入る前にAさんからこの寺のパンフレット渡されたんだよ なんでも、ここの宗教に入ってる人が手をかざすと目に見えない光が放たれ、傷の癒える早さが通常の何倍も上がるとか。 Aさんの主人も手に火傷を負ったが、この宗教流の治療法?で痕も残らないほど回復したとかなんとか… な わ け な い だ ろ 。 (ヤベェ絶対ェやべぇってここ。なにここ謎の宗教?俺、謎の儀式やられてるわけ?怖いマジ怖い。えええええ、ちょ、さっさと10分経てェェェ!! しかもマジで周りの人たち手をかざすだけだし!!それだけで傷の治りが早かったら誰も苦労しねぇよおおおおおお!!!もうなんなの此処、実はアレか?麻薬とかそういう系統なの? 空気中に麻薬を混ぜて信者に与えて気づいた時には立派なヤク中の出来上がりとかそんな展開ですか!?) 漫画みてぇとか言うなっ!マジ怖かったんだってこのとき!!! 「どうですか?なにか感じたりしませんか?」 「あはは…スミマセン、まったくもって…(冷や汗しか感じねぇよぉぉおおおお!!)」 「では次は後ろを向いて、足を伸ばしてください」 「(まだ続くのかぁぁぁぁ!)」 足を伸ばしAさんの後ろを向くと、驚くことに40代以降のおばさんおじさんだけでなく、見た目高校生の兄ちゃんも混じっていた。俺は心の中で念じた。目を覚ませと 実際見てないので分からないが、周りの人同様に俺の足や肩や頭などにただ手を添えてるだけなのだろう。 そしてたまに整体マッサージをするという流れだ。これを10分耐えるという苦行を俺はいまやっている 「はい、最後にうつ伏せになってください。ごめんなさいねぇ、この後大学で用事があるっていうのに」 「い、いえ…大学の方にはちゃんと連絡取ったので大丈夫です…ははっ」 これはAさんの善意であって、決して勧誘とか勧誘とか麻薬中毒とかそんな展開はないはずだそうだそうに決まってる早く10分経てええええええ!! もうこの時の俺は早く終われと願うばかりだった。 「はい、終わりですよ。ご苦労様です。最後に仏様にご挨拶をして終了です」 「そうですか」 「では私と同じ動きをお願いします。お名前は八神太一くんですよね?」 「えぇ」 予想通りAさんの高速呪文詠唱を聞き3礼3拍1礼をやり、謎の儀式が終わった。 * * * * * 「レントゲンの結果、骨に異常はないよ。ただ今後もう少し腫れて、痛みが出てくるとおもうけどそれも1週間程度です もし明日明後日とどこか痛みが出てきたらすぐに来てください」 「はい、ありがとうございます」 「交通事故に遭って打撲・擦り傷程度なんて本当に運が良かったね」 「えぇ、本当にそうです(その運は謎の儀式で全部奪い取られた気がするけど)」 その後、謎の宗教の勧誘をされつつ病院へ向かい診断してもらった結果異状なし。 1週間分の湿布と痛みどめを貰い、病院を後にした。 実は待ち時間でもAさんの猛攻撃は止まらなかった… 「私も気をつけて運転していたけど…ねぇ?」 「急に太一くんが出て来てビックリしたわ」 「あ、これさっきのお寺のパンフレット。もし心が不安定なときや身体がだるいときなどがあったらお友達を呼んで来てください。 此処に来るだけで心がスッと晴れやかな気分になるわよ」 「このお寺に入るとね、不思議なことが起こるのよ。手を翳すだけで傷の治り具合が違うって教えたけど、その他にも食べ物がより美味しく感じるの 最近の食べ物には添加物ってよくあるじゃない?でも手を翳すだけでそれがなくなるのよ」 「原爆の話でもね、手を翳したら放射線の数値が下がったって話が出てるのよ」 「だからお腹が痛いときや頭が痛い時、悩みがあるときは手を翳せばいいの」 「でも太一君は悩みがなさそうね。ふふっ」 うん、そんな目でみるな。 怖かった。本当に怖かった。一秒でも早くAさんから解放されたかった。 この時点で5時は過ぎてたっけ。病院の会計も終わって、あとは自転車の件だけだ。 Aさんはやたら修理か娘さんの自転車を上げるって押してたけど、…そりゃ、なぁ? あんだけひん曲がったチャリ、前輪のタイヤを交換しただけじゃ意味がないし そもそも娘さんがチャリ乗りたいときどうするんだって話だよ。 「恐らく修理しても前輪のタイヤだけじゃなくなりますし、娘さんのチャリももらえません。いまは1万以内で自転車が買えますので、そちらの方が断然良いと思います」 「…そうね。その方がいいですね」 んで、俺の家の近くにあるホー○ックで全く同じ自転車を買ってもらって、それに乗って大学に来たってわけだ。 あ?廃車になった自転車? それはAさんとご主人さんが後で回収して、ホー○ックに渡すって。ホー○ックは廃車回収してくれっからよ。 本当に怖かった。色々怖かった。交通事故なんて霞んで見えるくらいに怖かったわ 「あーうん、ホントお前が無事で何よりだわ」 「自転車も新品になったし、前向きに考えようぜ?」 「そのつもりだけどよぉ…、Aさん、また今度あの寺に連れて行きたいって言って…」 「「う、うわぁあぁあぁ…」」 明日明後日の体育祭を理由に断ったのだが、それじゃ日曜日に!と言ってきたAさん。 …俺はそれを全力でやり過ごして即効逃げるか、何とか理由着けて行かないようにするか……あぁ、もう謎の宗教マジ怖い 精神的に疲れるわ ガチで謎の儀式やられました。これ全部本当です。端折ったりしてますが、脚色は一切してません。謎の儀式が終わり、解放された私は即効で新しいチャリで大学に向かい色んな人にこの話をしました。そうでもしないと精神的に耐えれないからです。マジ怖すぎて笑い話にするしかなかった。交通事故?あったね、そんなのも… |