エアーサロンパスと汗と体育館の匂い

シューズのスキール音


ボールが地面を弾く

たくさんの人が応援をする声



負けることの出来ない戦いが始まった




一回戦目、青葉城西はシードのため
まだ戦う相手は決まってないけど
俺たちは決勝にいくことしか考えていない。

もちろん、決勝にいってきっと来るであろう牛島若利率いる白鳥沢学園を倒し全国への切符を手にすることが何よりの目的であり、目標である。




「ちょっと夏芽ちゃん!顔!固すぎる!!」

「柄にもなく緊張します」

「夏芽でも緊張するんだな」

「しますよ!ちょっと俺、トイレいってきます」

「はいはーい」



あー、だめだ、いつになく心臓がばくばくいってる



大丈夫、大丈夫。

みんなにんじん。かぼちゃ。
俺は人間。強い。


「七海夏芽」

「!」


振り返ると紫色のユニフォーム

有り余るほどの身長と筋肉



「牛島、さん」

「きちんと面と向かって話すのは初めてだな。中学の時、声をかけたはずだがなぜ白鳥沢にこなかった」

「はは、そんなこともありましたね」



中学のとき、徹さんたちの最後の大会で北一と白鳥沢は決勝戦であたった。


試合が終わり、選手同士握手するときに言われたのだ

「七海夏芽、白鳥沢学園高等部へこい。」と、その一言だけ。




もしかしたら俺は怪我をしていなかったら悩んでいたかもしれない

強いし、全国に最も近い学校
これほど魅力的なことはない。



でも、やっぱり


「俺は牛島さんを倒して全国にいく」

「それは及川の目標だろ。お前の本当の想いじゃない」

「いいえ、俺の目標は徹さんの目標です。」

「ふん、くだらんな。まあ、とにかく気が変わったらすぐに連絡してくれ」



俺の頭をぽんと撫でつけてからさっさと歩いていってしまった。




「お〜い、夏芽ちゃん?」

「徹さん」

「遅いから来ちゃった。大丈夫?」

「はい、大丈夫です!気合い入りました」

「おぉ、そのギラギラした目、そそられるっっ」

「デジャヴ感満載なのでやめてください」




徹さんは三年生。

牛島さんだって三年生。



今まで以上に力を発揮してくることが安易に予想される。

俺が合宿に行ってたくさんのことを学んだけど、
それはここにいるどの学校のどの選手だって同じだ



だったら、それを超えるまでだ



俺が、たくさん拾ってつなげて、
俺がみんなが安心してプレーできるような動きをする



「おし、徹さん、俺今日は拾いまくって、牛島さんを倒す」

「うん、行こうね、全国」





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