「ヒソカ君、お前蜘蛛内の評判最悪だなぁ!」
「突然酷い事言わないでくれよ
」
蜘蛛メンツに俺がヒソカ君と友人になった事を言う度にあまりにもやめとけやめとけ言われるので、俺は蜘蛛の拠点地でヒソカ君と再会した瞬間思わずヒソカ君を指差しながら大笑いしてしまった。いやぁ、特にマチちゃんのあの顔なんて凄かったぞ!
「ボクはファラオがフィンクスのお兄さんだって聞いて結構驚いたんだけど
」
「あ、誰かに名前も聞いたんだ?」
「結局三時間一緒に居たのに教えてくれなかったからね
」
はは、ま、言うタイミング逃しちゃっただけなんだけどな。
俺もまさか噂のヒソカ君と三時間もショッピングデートする事になるとは思ってもみなかったし。 自分でデートって言ってみたけど気色悪いな…ショッピング自体は想定外に楽しかったんだけどな…。
「ま、フィンクスと俺血繋がってないしな。我ながら全然似てねぇよ。それはそうと、なんとここに有名洋菓子店のケーキがあるんだが一緒に食べないか?」
「あれ?ボクはもう帰るところだけど、ファラオは何か用があって来たんじゃないの?」
「ん?ああ、クロロさんと食べようと思ってケーキ持って来ただけ。でもクロロさん居なそうだし、フィンクスに持って帰ってもアイツどうせ『なんか美味い』としか言わないからやだ」
「ふーん、じゃあ頂こうかな
」
「よし待ってろ、紅茶淹れてやる」
そんなこんなで俺が紅茶を淹れるべくヒソカ君から離れた瞬間、さっきから凄い目で俺達を見ていたシャル君が足早に寄って来た。
「何でヒソカと仲良さそうなの?!」
「えっ…うーん、趣味が合う?」
「…ファラオって戦闘狂の変態だったっけ?」
「やめて、お前等のヒソカ君への悪印象聞く度俺の腹筋がフィーバーしそうになるからやめて」
俺は笑いの波を堪えるべくふるふると震えながら、ポットにお湯を沸かし持ち込んでいる数種類の茶葉をブレンドし始めた。
「真面目な話、アイツその戦闘狂成分と変態成分スルーしたら凄ぇ面白いし話しやすいよ。ま、主成分がそれだけど」
「そこスルーしちゃダメなところだと思う」
「大丈夫だって。俺は真顔で友達殺せるから」
沸騰直前のお湯で紅茶ポットとティーカップを温めた後、ポットの加熱を再開する。紅茶ポットとティーカップのお湯を捨て中をふきんで拭いていたら、シャル君が宇宙人を見るような目で俺を見ているのに気づき目を瞬いた。そんな俺にシャル君はため息を吐く。
「オレさ、たまにファラオの事わかんない」
「は?そんな変な事言ってねぇよ。ただ、俺が俺自身よりフィンクスの事好きってだけの話」
「へぇ…今のフィンクスに言っていい?」
ポットにブレンドした茶葉を入れる手を止める。
「だーめ。どうしてもと言うなら殴り合おう」
「ならいいや。ファラオ、具現化系の癖にフィンクスと腕相撲いい勝負なんだもん」
「ああ…でもフィンクスとは十四勝三引き分け二十一敗なんだ…クソ、兄としてこの成績は遺憾だ。筋トレ増やそっかな…」
「強化系と張り合うのやめなよ…」
シャル君は呆れたように肩を竦める。
沸騰したお湯を注ぎ、さぁ後は紅茶を蒸らすだけだからケーキを皿に移そう、とヒソカ君の所に戻るべくシャル君に背を向け…やっぱりはっきり言っておこうと振り返った。
「やめねぇよ」
だって俺が張り合うとあいつが楽しそうな顔をするから。
…俺は、全然ブラコンという訳ではない。はず。