潮江を何とかする方法って…やっぱり無理矢理にでも近くにいることだよなぁ。たぶん。
立花みたいにがんじがらめに縛って近くに居るのが一番手っ取り早いか?立花は協力してくれるだろうし。

ただ、俺は潮江に関しては今まで見てきた印象で他の忍たまより思うところがあって…自業自得だけど、その考えは永遠に変わらないけど、俺は潮江の逆ハー補正が解けるより前にアイツと話しておきたい。

…と、そう思うわけだが、何だろう違和感がある。
その考え自体に、つまりは現在に違和感があるんじゃなくて…今までに。最近、前より複雑なことも思考が出来るような気がする。

違う。


違うだろ。俺は、これでも結構有名な大学出てんだ。そう、昔は…人間として生きていた頃は、現在よりもっともっと深く思考出来ていた。
今までがおかしかったんだ。今だってまだ、おかしい。

その疑問が今まで浮かばなかったことさえおかしい。


まるで思考が制限されているみたいだ。

「…着いたね」
「だな」

おかえり伊作さん!
どんな思考の波をさ迷っていても、挨拶は欠かさないよ!聞こえてないがな!

「…さっきの話だけどさ、正直僕には文次郎もだけど望月さんもわからなかった」

あ、二人もさっきの喧嘩っぽいの見てたのか。まぁ、あれだけの騒ぎになってたらなぁ。
てか、普通に考えて俺が行く前から見てたよね。たぶん俺より詳しいよね。

「…そうだな、文次郎の様子もおかしかったが、望月さんも…俺達のこと前から知っているみたいだったよな」

…え、何このモッチー疑われてる流れ?!なんか、俺よく知らないけどアニメやら漫画になってたんだから、決してモッチーが知ってるのはやましい理由じゃない…が、証明は出来ない。

「いや、そうじゃなくて…」
「?じゃあ何だよ」
「僕と望月さんとが話すとさ…いつも恒希さんのことで喧嘩になるじゃない?」

?!
待って、伊作さん!その前提待って!どういうこと?!それに関してもっと詳しく…!

「…望月さんって、結構自分の意見しっかり言う方だと思うんだよ。でも、それにしては…」
「ああ、確かに。今まで何もなかったな。当事者なのに、傍観してるみてぇだった」

…この話、俺がさっきまで考えてた話に似てない?今がおかしいんじゃなくて、今までがおかしい。

「あー、もう!わかんないことだらけ!恒希さんもすぐ帰っちゃうし!」
「あの人こそ謎だけどな。伊作もよ、確かに助けられたのはわかるし俺も感謝してるが、忍たまとしてもっと疑えよ」

ムカつきはするが、食満に全面的に同意。伊作さん、俺をもっと疑え。そうじゃないとこの先俺みたいなのが現れた時、心配過ぎる。

「だって…自分でもわからないけど、恒希さんは無条件で信じちゃうんだよ」
「それ不味いだろ」
「初めて会った気がしないっていうか、ずっと好きだった気がしちゃって…」
「はぁ…」

呆れたようにため息を吐いた食満を他所に、俺は何とも言えない気持ちに目を閉じる。
伊作さんが伊作さんだったから、俺は――

今も変わらず、繰り返す。



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