忍術学園には、どうしても途中でリタイアする奴等が多い。それは、村やお家の事情だったり、はたまた忍務で忍生命を絶たれたり、恐怖や罪悪感に支配されたり、…死んだりするからだ。
よって、忍術学園の編成は自動的に一年生が一番多く、六年生が一番少なくなる。

と、これが事実であるはずなのである。
なのに、先日軽い恐怖体験をした事ではたと気づいたのだが、俺は学園で一年生を見かけたことがいやに少ない。二年も、一年よりは見かけるものの、見た回数は少ない。

うん、おかしい。
俺が六年の長屋付近での行動が多いのを踏まえても、おかしい。
そういえば…前に伊作さんが伏木蔵?君をあまり見なくなったとか何とか。食満は平太?君を見ないって言ってたし。この二人ってやっぱ一年生なのかな?
うーん…一年生の間に、何か起こってる、とか?それもやっぱモッチーの関連なのかなぁ。六年生の間で紛争起きたしなぁ。
まだ、一年は組の子達の話は伊作さん達から聞いたりするんだが、どの子の様子が違って、どの子がいつも通りとかがまるでわからん。

「ねぇ留さん」
「ん?…あ、おい伊作!上っ!」
「え、っ痛ぁ…!!」

今日も伊作さんは安定の不運で、何故か急に壊れた棚と本達の下敷きになった。あれは痛い。伊作さん可哀想。でもかわいい。

「…大丈夫かよ」
「いつものことだよ、あはは…。留さん、本棚直しておいてくれる?」
「ああ」

伊作さん、乾いた笑顔が痛々しいです…っ!俺が思うに、伊作さんは一回ちゃんとしたところでお祓いとか受けてみるべき!多分貧乏神とか、そういうの憑いてる!
…はっ!ま、まさか先日のにこにこ一年生曰く俺に憑いていらっしゃる何者かが伊作さんに攻撃しているのではあるまいな?!

「それはそうと、一年ろ組のことなんだけど…」
「ああ。俺も伊作に言われてから気をつけて見るようにしたんだが…授業以外ではいつも長屋に引きこもるようになったみてぇだ」
「そう、やっぱり…」

…一年ろ組?ちょっとお二人、だからそういう重要っぽい話を俺の聞いてないところでするのはやめてくれまいか。
あれ、もしかしてこの話って冒頭で俺の考えてた一年の異変と関連あるのか?タイムリーな感じ?

「僕、伏木蔵から望月さんが好きって話、聞いたことないんだよね」
「…俺も、平太から望月さんの名前さえ聞いたことねぇな」

え?それって、忍たまでも一年ろ組の子達は逆ハー補正かかってないかもってこと…だよな?本当に、基準がわからん。
伊作さんと食満の補正への抗体的なもんは俺の作用としても、他は何なんだ?まさかランダムじゃないよな?いや、それにしては偏りがあるか。

「望月さんが好きじゃないだけなら、いいんだけどね…」
「ああ。どの方向にしろ、早まらなきゃいいがな…」

何それ、どういうこと?ちょっと俺にも理解できる言い方でお願いします。
…んー、まぁ次人間になった時は一年ろ組に接触してみるか。早まらなきゃとかいう食満の言葉も気になるし…やっぱ子どもは、心配だし。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -