現在、授業中なため伊作さんが部屋にいません。食満もいません。俺ぼっちです。

よし、じゃあ一年ろ組の子達に対しての考察でも始めますか。
あれだよな、そもそも補正が弱かった。それと、やっぱ浅実さん派発言?
考えてみれば団蔵君も補正そんなに強くなかったし…一年生ってもしやそんなに補正かかってないんじゃねぇの?だから、俺が学園内であんまり一年生を見る事も無いみたいな。いやわかんないけどさ。

天女様派はいいとして、問題は浅実さん派がどんな派閥かなんだよなぁ。前話した感じだと、天女様は学園の為隔離すべきみたいな?ありそー。
つまりはどっちも俺とは敵か。難儀な。

…まぁ、俺がするべき事は最初から最後までただ一つ。伊作さんを幸せにする。
それだけだ。


「あの時は楽しかったよね」
「まぁ…な」

伊作さんと食満が部屋に帰ってきた。
おかえり、伊作さん!そして何の話?食満は何でそんなに歯切れ悪いの?そういうの、俺地味に気になるよ!

「留さん、」
「…ん?何だ?」

俺、というか机の前に座った伊作さんは、何気ない口調と笑顔で食満の名前を呼んだ。

「皆早く、元に戻ればいいね」
「…そうだな」


……元に?そんなの、貴方が言うには優しすぎる。
伊作さん、殺されかけただろう?泣いただろう?辛かっただろう?悲しかっただろう?苦しかっただろう?

それ以上に、そんなに好きなの…?

「卒業までに、また六年生皆で遊びに行きたいなぁ…。恒希さんも来てくれたら、もっと嬉しいんだけど」
「あの人忙しいからなぁ…どうだろうな」

俺の夢は、お爺ちゃんになった伊作さんと、縁側で、一緒に――

でもそんな顔されたら、貴方のその夢、叶えたくなる。ちくしょー…っ!



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