どうも湯飲みです。相変わらず伊作さんの部屋にて湯飲みやってます。

ああ、あのくのたま捕まえる方法考えなきゃなぁ…地の利はどうしようもないし、なんか別な方法で…。
ん?そういや、あんま戦う機会無いし走る以外で使うこと少なかったから忘れてたが、湯飲みの神様の力で、俺第六感だけじゃなく身体能力チートなんだよな?なら極限まで気配消せば…いける?どうだろ…まぁ、またあのくのたまに会ったら試してみるか。

珍しく解決策を閃いた俺の視界の隅で、伊作さんが何もないところで盛大に転び棚の角に頭をぶつけて悶えていた。かわいい。素晴らしき日常。
今思ったけど、伊作さんのこの不運でよく俺、今まで傷一つなく過ごせたよなぁ。

ちなみに食満は、伊作さんを軽く振り返っておいおい大丈夫か?とか呆れぎみに言って、なんかよくわからんあひるを作っていた。本当に訳わからん。

そんな時、襖が開いた。自然と空気が凍り…相手が誰かわかったところで緩和される。
立花だった。
俺の立花の評価だが、底辺の中では上の方である。あの立花がキャラ崩壊も構わず土下座したからな。

「邪魔するぞ」
「いらっしゃい。…何か探してるの?」
「人の部屋に来て何だよ」

伊作さんに見つめられるだけでも至高の一時だというのに、立花は伊作さん(とついでに食満)をまったく見ず、部屋内を見回していた。やがて諦めたように伊作さん達を見る。

「此処も違うか。喜八郎が言うには出没は一週間毎らしいから捜しているんだが…」
「何の話?」

神妙な面持ちで言った立花に、俺は伊作さん共々気分的に首を傾げた。

「お前等も知っているだろう。恒希さんだ」

え、俺ですか。てか、何気に初めて立花に名前呼ばれたな。

「え、仙蔵も恒希さんに会ったの?!」
「あの人に何の用だ…?」

立花の言葉に、伊作さんは純粋に驚いたように声を上げ、食満は探るように立花を見た。
立花は二人の反応のどちらも気にした様子はなく、マイペースに二人を見た。

「いや、報告があってな」
「報告?」

報告?俺にだよな?えー…検討もつかん。

「先日、学園長に話を通してきた。恒希さん専用の部屋を六年の長屋にあてがってもらったから、その報告をな。ちなみにこの部屋の隣だ」

なんだと…?!
え、え、立花…お前いい奴じゃねぇか…!何かよくわからんが、その部屋好きに使っていいんだろ?そして学園長って立場どうなのか謎だが、とりあえず敵ではないんだな?

「よく話が通ったな?」
「学園長も今の現状に頭を痛めている。打開策があるならそれぐらいするさ」
「打開策…?どういうこと?」

いや、それより学園長が頭を痛めてるって方に俺は注目します。つまり学園長は此方の味方なんだろ?

「なんだ、知らないのか?恒希さんには天女の幻術を解く力があるだろう?」

ああ、俺にも仕組みはわからんが、本当にそうっぽいんだよなぁ。だいたい俺とモッチーに何の共通点が…あ、故郷?
えっと、この世界はアニメ及び漫画の世界で…なら、俺達異分子が変な影響与えられるのも不思議じゃない、のか?うーん…誰かすぱっと答えを教えてくれないものか。

「部屋に着物数十着と武器や必要ありそうなものは揃えておいた。恒希さんに会う機会があれば言っておいてくれ」
「…何で、仙蔵は恒希さんにそこまでするの?」

立花の評価が急上昇しているところで、伊作さんが当然の疑問を投げ掛けた。
確かに、いくら何でも俺に協力的過ぎる気がする。逆ハー補正解いたからって…何というか、モッチーが来る前までの俺が知っている、六年い組の忍たまらしい立花仙蔵にしては甘すぎる。
伊作さんを見た立花は、笑った。

「…恩人だからな。それに――」
「それに…?」
「いや、何でもない。そういうことだから、頼んだぞ」
「ちょっ、待ってよ…!」

何か含みのある言い方をした立花は、伊作さんが呼び止めるのも聞こえていないかのように、襖を開けた。
と思ったら、振り返った。一瞬俺を見た気がして超ビビる。

「まぁ無論、報酬はもらうが」

それって俺から?もしかしなくても、俺からだよね?
まだ二人しか知らないのに、早くも俺作法委員が怖いです。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -