俺は前世で無宗教だったのでわかりませんが、宗教ガン嵌りした方々はあんな感じなんでしょうか?
と、先日の三ちゃんと愉快な仲間達による土下座事件の一連の流れを頭で追って気持ち的に頭痛がした。
何だっけ?俺は新人なんだっけ?キラキラがパワーアップしてたんだっけ?宗教用語は俺にはわからないよ。わからない事を無理に考えても仕方ないよね?
それよりわかる事もあったはず。…ああ、そう、確か三ちゃんは俺と近い空間に居るだけで邪気は浄化されるとか、加護が受けられるとか言ってたな。それってつまり、何と無くそうかなとは思ってたけど俺が一緒に居るだけで逆ハー補正とやらは解けるって事だよな?
そう考えると…正直、確かに納得はいく。
そこにさらに、俺と長く一緒に居ると補正が解けるように、モッチーとも長く一緒に居る程補正の効果が強まるとも仮定すると、より話が見えて来る。
潮江がいい例だ。部屋の外の事はわからないとはいえ、モッチーは潮江を好きだと言っていた。つまりきっと、潮江を頼りにするようによく一緒に居たんだろう。その潮江の補正のかかり具合が、アレだ。
たぶんその事をモッチーも感づいたんだと思う。俺の主観だが、潮江を除いた真面目な奴は補正のかかりが甘い。それはモッチーが気づいた後はそういう奴を進んで避け、第二の潮江を作らないように配慮した結果じゃないだろうか。
六年生は最上級生として得体の知れない天女を観察するという目的の元、モッチーとよく接し補正に大きくかかったんだろう。
にも拘らず、伊作さんが補正にかかりさえしなかったのは…湯飲みとしての俺と一緒に居る時間が最も長かったから。食満にしても、普段から同室で俺と同じ空間によく居た。だから人間に変身した一瞬の接触だけでああも簡単に補正が解けた。
伊作さんと食満の部屋でありいつも俺が居る部屋に入った忍たま君達がよく部屋に対して変な反応をしたのも、もしかしたら俺が近くに居た故に補正が薄まったからなのかもしれない。湯飲みの時の俺が気持ち悪いとか俺可哀想な非難を受けたのも恐らく。てかそうであってください。俺の心が死んでしまいます!
うん、だいぶ謎が解けた気がする。
何でモッチーに望まないそんな力が与えられて、俺にそれを解ける力が与えられたのかは相変わらずわからないけど。
……ここまで来ると、食器の神様と名乗り俺に力をくれたアレも、きな臭くなって来たな。
俺の力は身体能力上昇やら第六感やら補正解くのも含めて、全部食器の神様からもらったもんだ。俺が湯飲みという事実は置いておいて、人外な力であり普通に手に出来るものじゃない。
なら、モッチーの力も何かしらの神の関与があっておかしくない。食器の神様と同一の存在であるのか、幾人も神のような存在が居るのかはわからないが。
俺の思考が制限されていた事だって、まるで俺がこうして真実に気づいて行くのを防ぐ為だったように思える。
…この俺の考えが正しかったとしたら、俺が全ての補正を解いた時その神はどうする?
「何だ、此処にも居ないのか」
つまらなさそうに呟き屋根裏から姿を現したそいつに、俺は身体についた僅かなヒビが痛み、気づけばその目の前に人の姿をして立っていた。勿論前世の時の服を着て。
「誰に何の御用かな?…七松」
訂正。立っていたではなく、その両手を塞いで押し倒して。