※モッチー病んでる(全ての過去を忘れていない)
気付けば、空が変わっていた。
さっきまで夕方のオレンジ色の空だったのが青い澄んだ空となっていた。
落ちて行く衝撃の中私は"色々なコト"を零れるように忘れていきそうになって――でも、それは経験してきた過去の私が可哀想な気がしたから、忘れる事を拒んだ。
好意を喜んだのは、本当に最初の最初だけ。半日も保たなかった。
でもそれだけなら、私はああやっぱり私は幸せになれない仕方ないで終わっていたんだ。だって私は、あの頃の私を、覚えている。
覚えていたから。
「よくわかんないけどつまり、天女サンは天女じゃないのか。わかった。あー…じゃあ呼び方困るから名前教えてもらえる?」
いきなり現れたテレビで見た事ない男の人が私を本物の天女だと思っているように話して来たから、そんな大層なものじゃないと否定すれば、この通り名前を聞かれた。
皆、信用出来ない。だって、皆皆皆、あんな噂で手の平返して私を蔑んだ。
「名前なんて、要らないでしょう?」
夕日が美しいと書いて、夕美。それが私の名前。
私にとって夕日は、過去の辛さと裏切りの象徴だ。夜はもう来ない。月は出ない。皆嫌い。きらい。
「じゃあ名前で呼ばないから。あだ名つけるって!呼ぶのに困んの!」
「…天女でいいのに。望月夕美」
天女ではないけど、呼び方なんてそれで構わないのに。
彼は捻くれた私を、じゃあ、とその太陽みたいな眩しい笑顔で否応無く照らした。
「モッチーってどう?嫌な所ある?」
普通に、笑顔のまま聞かれる。
でも、彼は私が自分の名前を嫌いな事に気づいた。だから、漢字も使わず響きも全然違う、その呼び名。
私も、その笑顔欲しいな。幸せに、なりたいな。
恒希さんの名前こそ聞けたけど、彼はすぐに走って居なくなってしまった。
太陽、か。夕日も、太陽が作ってるんだよね…なら、美しいのかもしれない。夜が来なくても、月が来なくても、微かに見える太陽さえあれば、笑えるかもしれない。
「もう、貴方だけでいいわ」
多くを望んだらまた壊れちゃうから、たった一つだけでいい。
貴方一人に気に入られれば、他の全員から嫌われても憎まれてもいい。どうでもいい。
今度は幸せに死にたい。
200000打お礼フリリク、赤坂様へ