人間になった俺は、完全なる俺の個人的な感情で滝君とやらを捜そうかと思ったんだが、そんなもんは伊作さんの部屋を出て一秒で吹き飛びました、はい。

「あ、忍術学園に出没する謎のプロ忍の八代恒希さん…!」

やけに説明口調で大きな声で言ったのは、前に組頭さんに連れられて行った保健室で見た乱太郎君だった。
此処に居るって事は、たぶん伊作さんに用事でもあったんだと思う。

「でも、八代さんがどうして善法寺伊作先輩と食満留三郎先輩の部屋から…?」
「はは、ちょっとね」

俺の所有者が伊作さんでね。
俺は相変わらず妙に説明口調な乱太郎君の言葉を曖昧に誤魔化した。

「あ、あの…」
「ん?」
「三ちゃんから聞いたんですけど、八代さんはキラキラで凄いから、皆を元に戻せるんだって」

三ちゃん…?いや、その子が誰だかは知らないけど…キラキラで凄い、その表現は例の霊感少年ではないか…?皆を元に戻せるって、逆ハー補正解除の事?何でそれを三ちゃんが知ってるんだよ?!怖いよ?!

「まぁ、そう、だけど…」
「じゃあ!は組に来てくれませんか?!」

うん?は組?…一年だし、一年は組、だよなぁ?
うーん、まぁいいか。一年生が逆ハー補正で潮江みたいになってるって考えたら気分悪いし。モッチーも一年生を無下には出来なさそうだし、さくっと早めに解決した方が良さそうだ。

「じゃあ来週のこの時間、一年は組の子全員で固まっててもらえるか?」
「はーい!」

かわいい。伊作さんやモッチーや綾ちゃん達とは違った、幼い子特有のかわいさ。素直な子どもはかわいいなぁ。

「乱太郎、何してんだ?」
「三人でこの前できたお団子屋さん行こうよー!もう、あそこのあんこの話聞いてるだけでよだれが…!」
「うん、今行く!…それじゃあ、ごめんなさい八代さん。お願いしますね!」
「おう」

お友達に呼ばれて駆け寄って行った乱太郎君に、黒髪の利発そうな少年が俺を指しながら何か質問して背の低いぽっちゃりした少年がいいから早くと二人の腕を引いた。

あれ、何か何処かで見た事あるような…でも見た事あるはずないよなぁ?俺、人間に変身出来るようになるまで伊作さんの部屋から出た事ないし。
だが何となく親近感というか…デジャヴ?

俺はこれはでも考えてもわからないパターンの話だな、と考えを放棄し部屋に戻った。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -