二時試験も簡単でつまんねぇ内容だった。
二次試験官の二人の内デブの方が出した課題の豚をさっさと仕留めて焼いて持って行けば、ブルーはオレより先に終わらせたらしく何をするでもなくただぼーっと虚空を見つめていた。
その目の青は、まるで生きてる人間とは思えねぇ程生気が無い。

けど、さっきブルーがシャルナークとかいう男との話終わりに時間飛ばしてた間のそれは、こんなもんじゃなかった。
例えるなら呪いの人形っつうか…元々スタイルとか顔立ちとか綺麗な方なせいで、光一つ無い目がシャルナークを睨みつけて微弱に一定の殺気を送っていたのは、もういっそ死人の呪詛って言われても違和感無かったかも。シャルナークがブルーに呪いが掛かってるって言ってたのも納得出来るっつーか…。
しかもシャルナークはシャルナークで、そんなブルー見ていやに嬉しそうな顔して帰ったし…最後のサイト絶対侵入して見せるからとかなんとかって発言も意味わかんねぇし、ホント何なんだよ。

「あのさ」
「ん?キルア君、何?」

あと、これ。
ブルーって、ぼーっとしてる割りに声掛けられた後の反応が妙に早い。オレ、今気配消して近づいていきなり話し掛けたのに、それにまるで驚かない。…最初から気づいてたのか?

「ブルーってさ、どんぐらい強いわけ?」

ブルーは一度瞬きして、たぶんブルーからしたら突拍子もなかったオレの質問に視線を斜めに上げてうーん…と小さく唸った。

「単純に肉弾戦なら、キルア君には負けると思うよ」
「…ホントに?」
「え、そこ疑うの?本当なんだけどなぁ」

ブルーはどこまで本気で言ってるのか全然読めねぇ。口にした事全部嘘ってのもあり得そうで、全部本当ってのも考えられる。
素直な性格に見えるのに、何かが嘘臭い。

「じゃあ肉弾戦以外なら勝つんだ?」
「今のところね。でもゾルディックの期待の星だもんなぁ…すぐ追い抜かれちゃうかも」

その言葉が、なんか無性に苛立った。

「お前さ…」
「ん?」

どうにかして傷つけてやりたくて言葉を探す。
くっそ、付き合い短いし何に傷つくかなんてわかんねぇし。けどこいつの感情を、どうにか揺らしてやりたい。だって不公平だ。


「――気持ち悪い。死んでるみたい」

結局絞り出した言葉はただの本音で、冷や汗が流れるのも止められなかった。ブルーの顔が見られない。
…殺されるかも。そんなわけない。さすがに抵抗ぐらいは出来る力量差、のはず。なのに。

「失礼だな。私はちゃんと生きてるよ」

顔を上げれば、ブルーはやっぱり死んだ目でさっきまでと同じく微笑んでいた。
ああ…ああ。成る程。確かに生きてる。生きてるだけだ、こいつ。

何にも見えてないし、見る気がねぇんだ。
どんなに綺麗でも、こいつのこれは本物の死人の目だ。

怖い。



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