「バレンタインだな、伊作!」
「横文字を使うなゴルァアア!」
「ぐはっ…!」

皆さんこんにちは、2月14日をどうお過ごしかな?
俺達六年は組は今日も元気です。伊作さんの綺麗な構えによる飛び蹴りを喰らった食満の飛距離が一段と増した気がします。
最近伊作は暴力による制圧を行います。でも懲りない食満も食満だと思います。

「チョコ食いてぇ」
「そうだね」
「っぐ…伊作、チョコは?チョコに対する制裁はどうした?」
「他に言い方難しいし。食べ物は仕方ない」

伊作は大概俺に甘いよな。…でも食満に関してはぶっちゃけ可哀想な表情見たいだけだろ。あ、同性愛的なお話ではありません。ええまったく。
それにしても食満は丈夫になったなぁ。もう復活してきたのか。

「聖…あれ、何だっけ?今日の起源何?」
「25日の聖誕祭はわかりやすいけど、そういや今日のってよくわかんないよね」
「25は死んだ日じゃなかったか?」
「「…まぁ騒ぐための日だしねー」」

伊作とかぶった。
いいんですよ、日本人は行事が大好きだからそれでいいんですよ。

「何はともあれチョコ作ろう!」
「突発的馬鹿がまた何か言い出したぞ」

何だと?!食満に馬鹿と言われるなんて何たる屈辱…!これから食満のこと、幼児及び被虐趣味って呼んでやる!

「幸一郎さん、材料は?」
「はい、チョコです!この室町時代に色んなコネで入手しました!」
「…それだけだと冷やして型抜きだけにならないか?」
「怪獣の形にしようぜッ!」
「何で少年時代に戻った…?!」

幼児及び被虐趣味の突っ込みが今日も冴え渡る。

「ところで幸一郎、男から渡すの?」
「さすがは伊作、よくぞそれに気づいた!」
「皆思ってただろ」

まったく、これだから幼児及び被虐趣味は。後から、まぁ俺も知ってたけどね?って言うのは知らない奴より質悪いんだぞ。
俺はやれやれとため息を吐いた後材料として出した板チョコを真ん中で割った。

「はい、板チョコで悪いがこれ半分ずつやる」
「「…え?」」

何だよ、早く受け取れよ。まったく触れてなかったし、さっきの伊作の飛び蹴りで壁に大穴開いてるけど、六年は組の教室内なんだぞ?差し出したままだと居たたまれないだろうが。
仕方ないだろ、バレンタインっぽいことしたくても好きな子いないし女友達もいなくて、結果がこれだよ!

「日頃の感謝的なー」
「幸一郎…いい話で終わらそうとしてる空気が出てるけど、ちょっと感動したよ」
「俺もだ。ありがとよ、幸一郎!」
「どいたまー」

微かにくすぐったい空気に、は組の奴等が歓声を上げた。歓声に混じって聞こえた、今の空気なら言える、借りてた幸一郎の春画破った、の声に迷わずその阿呆は殴った。八回殴った。結構本気で泣いてた。

「お前等授業始め…壁どうしたぁああ?!つか佐藤何その腫れ上がった顔?!」
「あ、せんせー。幼児及び被虐趣味が破りましたー。佐藤君は元々こんな顔でーす」
「俺のせいかよ?!伊作は?!てかおい、何だその呼び方!佐藤も可哀想だし…突っ込みが追い付かねぇ!」
「さりげなく自分のことだって認めたね」
「おー、つまり食満と善法寺の仕業か。佐藤はとにかく保健室行ってこい。まったく、冬にシースルーはちょいキツいぞ?」
「横文字使うんじゃねぇええ!」

今日も六年は組は平和である。



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