私の友人は人類で一番強いヒーロー様。
なのにそれを威張ったり開けかしたりしないで、俺は強いで終わらせる。少しだけつまらなさそうに、物足りなさそうに終わらせる。

そんな人と友人で居させてもらっている私は、いつも晩ご飯を作りに彼の家に行く。ただ会いたいから。
朝とお昼は私も仕事があるし、休みの日でもお互い用事があったりするし。あまり一緒にする事はない。

お察しかと思うけれど、私はそんな彼、サイタマさんの事が恋愛感情で好きなのです。でもサイタマさんは凄い人で、これって私の片想いだから…内緒ね?


「サイタマさん、おはようございます」
「ぅおお?!お、おはよう?!」

アポなしでサイタマさんの家を訪ねたら、パジャマで寝起き丸出しのサイタマさんが見られた。かわいい。
いきなりは迷惑かなって思ったけど、もう半年以上お家にお邪魔してるのだし大丈夫かなって勇気を出してみたの!怒られたら…ううん、今度からは気をつけます。

「え?!今日仕事だったよ、な?!」
「後輩君がミスしてくれて、急なお休み頂けました」

笑顔で言ってから、はっとした。やだ私これじゃあサイタマさんに性格悪い女だって思われちゃう!違うのよ違うのよ!後輩君は素直で良い子だし私も可愛がってるの!ミスもちゃんとフォローしたし、そもそも私が急に休みになったのって後輩君の世話係として私が責任取って3日間謹慎になったって内容なの!
でも仕事は仕事で反省はするけど、私は仕事よりサイタマさんの方が何倍も何倍も何十倍も大好きだから一緒に居られる時間が増えるのはどうしても嬉しいんだもんっ!!
…年甲斐も無くだもんとか思っちゃった。心の中とはいえ恥ずかしい。

「そうなんだ。でもそれなら教えてくれりゃ、」
「驚かせたくて!迷惑でした…?」

歯切れの悪いサイタマさんの言葉に、やっぱり迷惑だったのかと眉を下げしゅんとして問えば、サイタマさんは凄く慌てた顔をしてぶんぶんぶんと何度も首を振った。

「それは無い!!その…ほら俺も、ほら、朝飯作ってくれると嬉し…あ、別にスミレさんの事家政婦と思ってるわけじゃないけど!スミレさん料理上手だし、とにかくっ!俺は来てくれて嬉しいから!」
「本当に…?無理してません?」
「してない!さっきのは、来ると思ってなかったから適当な格好だしまだ顔も洗ってねぇし…恥ずかしいだろ」


…っや、やだ!サイタマさんかわいい!私の好きな人凄くかわいい!見て!サイタマさんちょっと顔赤くしてるの!私の方ちゃんと見てくれないの!え、見えない?仕方ないわね!私一人占め!!

「サイタマさん、今日はお時間あります?怪人と戦う予定はありません?」
「今の所は無い!」
「じゃあ久しぶりにゆっくり二人でお話出来ますね!」

やったー!一日一緒に居られる…!怪人さん、今日は空気を読んで近くで暴れたりしないでね?

そんな風にずっとサイタマさんの家の中にお邪魔したりもせずにお話していたら、お隣の家のドアが開いた。隣の家の一人暮らしのおじいちゃんとは何度か会ってるから顔見知り。ああ、でもその微笑ましそうな顔…嫌な予感。

「おはよう、ご夫婦。今日も仲良きかな」
「「夫婦じゃ(ねぇよ)(ありません)!!」」

っもう!隣のおじいちゃんボケが始まってるらしくて何度言っても覚えてくれないの!恥ずかしいわ!!…でも――
サイタマさんとは顔を見合わせて苦笑する。


こうしてるうちにすきになってくれないかしら

なーんて、ね!


お題:家出様より



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