昨日の最後は何だか納得いかないが、何はともあれ私は風紀委員として認められた。つまり委員長の下につく事を許可された。

「ふふ…!」

私は自分の家のベッドの上で、これからの幸せな日々を思い浮かべ、最大級に口許を弛めた。
ああ、まだ午前四時?時間が進むのが遅すぎる。一刻も早く委員長に会いに行きたいのだけど、早く行き過ぎても迷惑だろう。
私は一つ深呼吸をし、ベッドから起き上がり並中の制服に着替えた。風紀委員の制服はまだ支給されていないから、今日はこれで問題ないはずだ。朝食は早くに採りすぎても後でお腹が空くためまだ採らず、洗面所で身だしなみを整え私は家を出た。

「ちゃおッス」
「…は?」

並盛にも来たばかりだし散策でもするかと思っていた予定が粉々に崩された。
家の塀に偉そうに座っている黒スーツ姿のこの赤ん坊…どう考えても最強の殺し屋(ヒットマン)リボーンだ。

「早朝から何をしている、ヒットマン」
「相変わらずだな、夜」
「ハッ!お前に名前なんて呼ばれたくないな」

人の肩に無断で乗ろうとしてきたヒットマンを、一歩半後ろに退く事で回避した。誰が貴様に肩など貸してやるものか。

「日本に何の用だ」
「おう、ちょっと仕事にな。ただ時差のせいで家にまだ行けねぇから、時間潰しにお前んとこ来たんだぞ」
「イタリアに帰れ」

殺し屋、しかもリボーンに頼む程の依頼がこの辺りで行われるなんて冗談じゃない。委員長に何かあったらどうしてくれようか。
しかも時間潰しに私を利用するな。私だって時間の条件と迷惑さは同じ…いや、迷惑さに関してはそれ以上だ。

「天女ならどうせ起きてただろ」
「そのこっ恥ずかしい呼び方やめてもらえない?」
「お前が名前呼び嫌だって言ったんだろ」
「名字があるだろ、名字が」

それは俺が嫌だぞ、なんてヒットマンが笑い、私は瞬時にその小さな体に向けて思い切り蹴りを放った。だがギリギリのところで避けられ、舌打ちする。

「おい、危ねぇぞ」
「お前も知っているだろう。私は沸点が低い」

私を苛立たせる事を言うお前が悪い、と鼻を鳴らす。

「元気そうだな」
「は?」
「最近仕事の噂聞かなかったぞ。ニート生活か?」
「本業は元から健全な中学生だ。それに…」

失礼な奴だ。今の中学生なんて、仕事をしている方が珍しいだろうが。
私は一度言葉を切り、かの人を思い浮かべ表情を和らげる。

「大切な方が出来たからな」

私はヒットマンから追求される前に学校へと走り出した。


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