校庭に出ると、すぐに風紀委員の群れが見えた。学ランにリーゼントの集団は実に目立つ。

「お前、遅刻か」
「は?」

私は無駄にガンをつけてくる同じ風紀委員だろう男に眉を寄せた後、呆れと嘲りの中間のような薄ら笑みを向けた。
私が委員長に呼ばれていたとわかるまでのことは別に期待していないが、明らかに校舎から歩いてきただろうが。

「おい女。雲雀さんが認めても俺等は女が風紀委員になるなんぞ認めねぇ」

普通の女子供なら縮み上がるのだろう顔で凄まれて、私は口角をつり上げた。今度こそ正真証明嘲笑してやった私に、男が睨みを強める。
一応昨日の試験ではいなかったから二年か三年か?まぁ、どちらにせよ関係ないが。

「私は風紀委員として委員長に仕えるのに性別なんてどうでもいいと思いますが」
「女は雲雀さんに媚を売るだけだ。要らねぇんだよ」

相手の決めつけた言い方に怒るでもなく、ただ私も相手を見下すように笑みを浮かべる。
男女差別も甚だしいが、まぁ確かに女が力の問題で弱い者が多いのも事実。それに対してはとやかく言う気はない。

「風紀委員に必要なものは、他を圧倒する力と委員長への絶対的忠誠心…それだけで事足ります」

それ以外のものは全て、むしろ邪魔だと言ってやれば、突然相手の男は殴りかかってきた。
口論が駄目なら暴力?はっ…こんなのがよく高貴なる風紀委員の一員になれたものだ。それにはこのやり取りを見ている中の数人にも言えそうだが。
私は軽く拳をいなし、好戦的な笑みを浮かべた。

「へぇ、そっちから仕掛けて来るんなら丁度いい。それなら風紀委員の奴等、私が調教してやるよ」

委員長は絶対的な強者であり、委員長の下にもまた強者しか要らない。
私の挑発に乗って攻撃を仕掛けてきた風紀委員の奴等を私は受け流し、ちぎっては投げた。別に実力差で圧倒することもできるけど、この方が疲れない。

「死ね…っ!」
「お前が死ね」

これだから中学生は。死ねとか、そんな幼稚な罵倒ばかり使って来る。…私も中学生か。
私は最後の一人の腹に強めに蹴りを入れた。男は前屈みになりながら踞り、腹を押さえてリバースする。きったな。

「もうお仕舞いですか?先輩方」
「っ…!」

地に這いつくばる風紀委員の群れを見下したように笑ってやれば、後ろからそこそこ強い気配が近づくのがわかった。私は直ぐ様脇に避け、頭を下げる。

「おはようございます、副委員長」
「ああ…これ、お前か?」
「仕掛けてきたのはあちらからです」
「そうか」

理由は何であれ、何かしらの罰は受けるだろうかと思っていた私は、副委員長の淡白な反応に驚き思わず顔を上げた。副委員長と目が合い、慌ててまた頭を下げる。

「顔を上げろ。華宮…お前はB班配属だ」
「B班…風紀委員内の区分ですか?」
「そんなところだ。Bは個性派揃いの問題児だが、強さは各班一だ。お前もそこで成長しろ」
「かしこまりました」

つまり、副委員長から見れば私は強くはあっても何か足りないと。
風紀委員内序列二位である副委員長に言われたのだから、私も大人しく従おう。私の生きる意味が委員長である以上、委員長の妨げになる自分の存在は徹底的に潰す。
B班の奴等がどんな連中かは知らないが、委員長の邪魔になるようなら私が粛正…いや、更正させよう。私は委員長の影となってみせる。


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