少年は、名前を不破雷蔵と言うらしい。
何故戦場に居たのかと問えば口籠ったので無言真顔で一分間程凝視し続ければ、忍術学園に通う忍たまとかいう忍者の卵で現在五年生なのだと口を割った。

忍者と言えば、ジャポンにそんな仕事があった気もする。どういった仕事内容かは知らないけど。

「あの、し…貴女のお名前は…?」
「アヤメ」

この世界では、念の存在を知っている者は居ないと私は此処に来てからの六年間で確信した。つまり、本名を教えても不利益は一切無い。
それに私は私の名前が好きだ。

「アヤメ、さん…あの、一つ質問いいですか?」
「名前を問うのも質問だったけど。まぁ、聞かれて困る事は無いね」
「すみません。その、あの扉はどうして開かないんですか?」

問われて、不破君の目線の先を辿った後、ああと納得する。

「念字を書いているからね」
「ね、念じ?」
「端的に言えば、私にしか開かない作りにしてあるんだよ」

この世界で言えば、だけど。
ただ少し練をするだけで開く。主に、今と同様に金を払わず中から外に逃げられるのを防ぐ為にの念字だ。
私にしか開けられない、と言った時点で閉じ込められている事に気づいたのか、はたまた思い出したのか、不破君は顔を青ざめさせた。

「金を払う奴には、何もしないさ」

何も。

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