「成る程、つまり僕は闇の帝王様に人形に魂入れられ、彼の下僕となるべき存在として召喚された、という訳ですね?」
「…端的に言うと、そうなるな」
僕の世話係と言うべきか、見張り役と言うべきか、とにかく闇の帝王様に僕に付いているよう命じられているらしいルシウスさんの言葉に納得する。
魔法なんてこの世に本当に存在したんですね、勉強になります。まぁ、僕のこの人形の身体は特殊な素材で一切魔法は効かないらしいですが。
ちなみに闇の帝王様のお名前は教えて頂けませんでした。言霊的な話かな?詳しくないけど。
「では、次はお前の話を聞かせてもらおうか」
「僕の話ですか?それ意味あります?」
「そうだな、一応闇の帝王に報せる必要がある」
「そうですか、えー、僕は人間として生まれそれなりの運命を背負い少しだけ幸せなことを経験し、死んだのかも覚えてませんがいつの間にやら今や人形ですね。あ、後好物はパイの実です」
「…」
「すみません、過去は振り返らない主義なもので」
僕、思い出振り返ったり、根に持ったり、恩を忘れなかったり、そういうのしないタイプなんですよね。
特にやりたいことも無いので、寝返りはしませんからその辺気にしないでもらえるとお互い良いと思うのですが。
「…わかった、最後に名前だけ聞いておこう」
「セピアです。これからよろしくお願いしますね、ルシウスさん」
「ああ」
まぁ僕、細かい事は気にしませんから、それなりに流されながら今回も生きて行こうと思います。