「セピアは、私に全く興味は湧かないのか?」

僕は特に興味も無いのに読んでいたファッション雑誌から顔を上げ、同じソファーの隣に座っていらっしゃるルシウスさんを見た。

「何ですか、急に」
「いや…お前があまりにも初対面から変わらないからな」

…。
変わりませんかね?最近、僕変じゃないですか?あ、前の僕ルシウスさんは知らないから分かりませんか。

「最近、ちょっと興味湧きました」

自分から言って来た癖に、ルシウスさんは驚いた顔で僕を見られた。

「ルシウスさんって、子供好きですか?」
「…」

あからさまに期待外れだったって顔されました。

「子供作らないんですか?父上の息子さんの嫁さんなんか、五人も作りましたよ?」
「…それは兄か弟と義姉か義妹と表現するものじゃないか?」
「いえ、そこのところうち複雑でしたもので」

父上の息子さんは兄じゃないし、嫁さんも姉じゃなくて、その五人の子供は弟と妹なんですよ。その方が、父上は都合良かったわけです。

「それで、子供作らないんですか?」
「お前が居る限り、無理だろうな」

その責めるような言い方に、僕は思わず笑った。

「僕を好きだからですか」
「ああ、お前が好きだからだ」

何気に、初めて口に出して好きって言いましたね。

「だからお前は、黙って責任を取れ」

了承の言葉の代わりに、僕はルシウスさんの首に腕を巻き付け深く口付けた。


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