ニンゲンって、脆いなぁ。
僕の手によって、それこそ人形みたくぐちゃぐちゃ崩れていく闇の帝王様やルシウスさん達がマグルと呼ぶニンゲン。
「心かぁ」
ニンゲンの死体の指を千切ったら血が滴り落ちた。
もう僕、血流れてないんだよね。でも元から流れてた気しないな。家族とも血繋がってなかったし。家族でも、特別な好きではなかったし。そんな人一人も居なかったし。
今も昔も、流されてるから生きてるだけだし。死にたいわけでも生きたいわけでもないし。
最初から人形と変わらない。
「セピアの殺し方は汚いな」
背後から掛かった声に、僕はきょとん、とその顔を見返した。
「ダメですか?」
何故かルシウスさんは目を見開かれた。僕、この手の質問よくしてません?何で今更驚いていらっしゃるんですか。
「どうせ私が洗ってやるから構わん」
言いながら、ルシウスさんは血液でずぶ濡れな僕を抱き上げた。姫抱きでも俵抱きでもなく、だっこである。
「ルシウスさんって、本当に僕の事好きですね」
ルシウスさんは答える事なく、さくさくと闇の帝王様の家で僕の部屋に向かうべく歩く。
今日は珍しく闇の帝王様の屋敷の近くでマグル狩りだったから、歩いてもそう遠くはない。
「あったかい。ルシウスさんは結局ニンゲンでしたね」
「お前も器以外はニンゲンだろう?」
「……うん」
さも当たり前のように言うから、思わず肯定した。
今のルシウスさんは弟達を諭していたかつての僕のようで、僕は弟達のようだった。
そういえば、僕誰かに甘えるのって初めてかもしれない。うん、初めてだ。
悪くない。