「セピア兄さんの存在って、本当に反則だよな」

ノックもせずに人の部屋に入って来るなり、いきなり文句のような事を宣った血の繋がらない弟に、僕は仕方なくパイの実を食べるのに集中していた手を止め拗ねたようなその顔を見返した。
相変わらずちっこいな。今何歳だ?10歳ぐらい?僕の半分ぐらいだったような…僕何歳だ?んー…まぁ、イルミと同い年なんだから後でイルミに年齢聞けばわかるか。
それより今はこの不満気な顔したうちの三男だ。

「何。言いたい事は遠回しに言うな」
「…だって、どう見てもうちの最強には見えねぇじゃん。なんか外見好青年っぽいし」
「才能だよ。顔は俺ゾルディックの血流れてないし、生まれつき」

僕としても性格からして、この爽やかえろい中性的フェイスは似合わないなと思うんだけど生まれつきなものは仕方ない。
後、僕が強いのは身体能力はもちろん高いにしても、2歳から念能力を使えた事が大きいからなぁ。念能力無しなら間違い無くうち一番の強さじゃないし。でもまだ念能力教わっていない三男に教えてあげるのは父上の方針から外れてしまう。

「キルア、自分より強い奴からはちゃんと逃げるんだよ?」
「兄貴から何度も聞いたよ」
「うんうん、未知の力を感じたら何がなんでも逃げなさい」
「…兄貴のアレみたいなのか。後、セピア兄さんが俺がパイの実食べた時に向けて来たやつ」
「うんうん、パイの実の恨みは恐ろしいからね」

二度と食うなよあ゛ん?と真顔で脅したりと、教育には余念の無い僕。まぁ、キルアの担当はイルミだからそれ程気を配る気はないのだけど。
ベッドで二人して向かい合って話す僕等は、似てはいないけど仲のいい兄弟に見えるだろうか。

「殺されそうになったらすぐ家に帰って来るんだよ?それが無理そうなら俺に電話。お兄さんが助けてあげる」
「…まぁ、頼りにしてる」
「大体は俺家に居るけどね。引きこもりだからー。滅多に外で仕事は無いからー」
「何でセピア兄さん、強いのにんな仕事少ないわけ?」
「父上の方針」

一言でうちの誰をも黙らせる魔法の言葉である。真実だけど。
ほら、僕って流されやすいからさ。ある程度縛っておかないとふわふわっと流されちゃうわけ。アンダースタン?

「あ、仕事入…って、何これ内容面倒くさ」
「へー、どんなん?」
「標的が常に大勢で行動してるパターン」

僕は溜息と共に真っ黒の指紋のつきやすい携帯をポケットに突っ込みベッドから立ち上がった。

まぁ一丁、久々の仕事だからそれなりに頑張りますか。
父上が僕に回す仕事って、だいたいこういう僕の念能力使うのが一番都合良いやつだし。


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