「うわ…」

今日は僕が苦手な人物を紹介しよう。と言うか、紹介したいわけじゃなかったんだけど、今日の仕事場になんか居るんだよ。
この大物貴族政治家の集うバイオリンのリサイタル会場で、ある意味妙にしっくり来るけど中身を知っている此方としては浮きまくっているコイツを見つけた僕は、もう大幅にテンションを落としましたね。

「そんな嫌そうな声出さなくてもいいじゃないか
「うん、つい。スーツ着てるお前が一瞬格好良く見えて、そんな自分が許せなかった」

今は普通の格好のただのイケメンに見えるこの快楽殺人者なピエロ、ヒソカが僕の苦手な人物だ。
まぁ、僕はヒソカはあの奇抜な格好で居るべきだと思う。あれなら最初から近づく気失せるし。コイツをうっかり格好良いとか思わなくて済むし。

「偶然だねセピアと二度目に会った時みたいだなぁ
「俺を内心ドン引きなんてさせるのは後にも先にもお前ぐらいだろうさ」
「それは光栄だな

喜ぶな、反省しろ。
一回目の遭遇で念能力を使わずさくっと暗殺していた所果実がどうとか言われ迷惑極まりない事に僕はヒソカに気に入られた。次はまた仕事場でその時には念能力を見られ、超変態的な顔で僕を見ていたヒソカに思わず念能力発動も忘れる程ドン引きした僕は色々あってゾルディックである事をバラすという失態。いや、あれはイルミが悪かったんだったか?うん、僕は確かいつも通りマイペースだったはず。
そして三回目が今日だ。本当、自分の不運を呪いたくなる遭遇率。過去は振り返らない主義の僕としては、会わなくなりさえすればいくらキャラが濃くても忘れるので遭遇率をもう少し下げてほしい。

「引きこもりのキミが外に出てるって事は、今日仕事でしょ?」
「邪魔するなよ」
「しないよ見てるだけ
「お前の視線は邪魔なんだけどな」

終始笑顔なヒソカを嫌そうに見る。何で視線をあんなねとねとさせられるのか意味がわからない。
おそらく、僕は念能力を使えば今すぐにでも無傷でコイツを殺す事が出来る。我慢なんて性に合わないし、ゾルディック内でもほぼ行動を容認される僕は普通ならそう、今すぐにでもヒソカの息の根を止めるところなんだけど…。

「ちっ…早く終わらせよ」
「いやー、イイ予感がしたから来たんだけど、正解だったな

僕は仕事断れば良かったって後悔中だ。
ヒソカと無駄話をしているうちに開演時間が迫ったため、僕は別れの挨拶もせず会場から一度出るため最後部の出入り口に歩く。

「頑張ってね

…おい待てその台詞、弾くの僕だって知ってて来ただろお前。


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