跡部が好きキャラでした、あの頃この世界は確かに漫画で、俺は今二度目の人生です。それが真実です。
そんな我ながら中々に重い事実を受け入れる事にした俺なので、跡部の前で大号泣して疲れて教室帰りたくないと駄々捏ねて家まで長い車で送ってもらった次の日、記憶にある現在関わり持ってるキャラ達に会って回ってみる事にした。
でもテニス部には行かぬ。
何故なら俺が事実を受け入れたとしても、俺のチート入ったテニス能力はあまりよろしくないものであるからだ。テニスさせられる展開になったら、俺困る。
そんなこんなでー、俺は朝はいつも通り走らなくていい程度の時間に学校着いて、休み時間に皆の教室回ろーと思いながら教室に入ったわけでして。
「朔人ー!!」
びよん、と効果音でも鳴りそうな勢いで黄色のふわふわした何かが飛びついて来たので咄嗟に横に避けた。流石俺の反射神経。流石師範(若の父上)に喧嘩の才能あると言われた俺の身体能力。
だが何故教室に羊?
俺が避けた事により、黄色のふわふわは床にびたんと音を立て落ちていた。ジローだった。一瞬本気で羊だと思ったぞ貴様、やるな。
「よ、避けるなんて酷Eー!!」
「すまん反射だ。そして出会い頭に飛びつくのはやめなさい」
勢いよく顔を上げ恨めしそうに俺に抗議の声を上げるジローに、ふと思い出し俺は倒れたままのジローに近づくようにしゃがみ込んだ。
「?朔人何?」
「…」
にこっ!
「…っ痛ぇええええ!!な、何すんのー?!あ、頭割れるー!!」
「煩ぇそのちょっと可愛い反応やめろ。ビーフストロガノフの借りだ」
「暴力はいけないんだCー!!」
無駄に純粋そうな瞳を潤ませて俺に拳骨を喰らったジローは喚く。羊ってこんなぴーぴー煩ぇイメージねぇのになぁ。
「お前は、休み時間までちゃんとシリアスに考えようと思った偉い俺の邪魔をしやがって…」
「?朔人、シリアス似合わないよ?」
「あー…はは」
それは嬉しくて複雑なご意見で。
俺は元々シリアス思考ですよバーカ。ほぼお前と岳人のせいでギャグキャラになれて、お前と岳人の為にシリアスにならざるを得ねぇんだよ。バーカ。