眼前に何処までも広がる青。上を向けば幾分か薄い青、とまだらにある白。
独特の匂いを肺一杯吸い込み、俺は叫んだ。

「海ぃいいい!」
「海ー!」
「やっほぉおおおいっ!」
「ほーほけきょーっ!」

がつんっ。頭に衝撃が走った。

「っ痛!何すんだよ岳人?!」
「恥ずかしい」
「ほらー、ジローがウグイスの真似するからだぞー!」
「えー、ごめんー!」
「二人共だ馬鹿」

何はともあれ、今日はいつもの三人で念願の海に来てまっす!

「てか、暑いのに今日は元気だな朔人」
「目前に何時でも飛び込める海があれば、爽やかな気分で生きていける」
「何か発言がビッグだCー!」
「マジかっ!よし、この調子でちょっくらナンパに…!」
「おい!」
「HAHAHA、冗談さ」

まったく、軽いジョークじゃないか。まぁさっきから視界の端に見える赤いビキニのお姉さんはメチャクチャ気にしているがな!

「っしゃ!とりあえず三分で準備運動済ませて海にダイブしようぜ!」
「おう!」
「うん!」

そうして、テンション高くきっちり三分で準備体操を終わらせた俺達三人は、海に勢いよく飛び込んだ。

「冷たい!しょっぱ、いや辛不味い!気持ちいい!」
「あっ!浮き輪作るの忘れてたCー!」

俺がテンションに身を任せ叫んでいると、ジローがはっとしたように自分の額をこつんと叩いた。所謂てへぺろのポーズ。似合っているところがうざいのは置いておいて…俺は目を剥いた。

「何を言うジロー。浮き輪でゆったりぷかぷかタイムは第四段階だろうがっ!」
「いや、何だよその段階?!」
「第一が今のとにかく海の中で全力ではしゃぐ!第二が砂の彫刻!第三が砂風呂!そして第四で初めてゆったりだろうっ!」
「知らねぇよ!今聞いたぞ、その予定!!」
「あはは、面白Eー!」

ジローがけらけらと笑い出したのを皮切りに、気づけば三人で爆笑していた。
そしてそのまま勢いに任せて、俺は岳人の小豆色の頭を海中に沈めた。

「っ…ぶは!テ、メ!いきなり何だよ?!」
「海と言ったら呼吸困難大事件だろう」
「あはは!物騒ー!」
「いや、普通に殺人未遂だろ?!」
「だがこれが何時の日か、そんなこともあったよなと笑い合える日が来るもんなんだよ」

そんでその時まで、三人仲良くしていられたらいいなと思います!

             


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「見えない臓器の名前は」
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