皆、そんなにアホ部様とおしぼり君が嫌か。
寒いという形容詞を一切使わなくなった教室内に、罰ゲームがあるから面白いのにと理不尽なことを考えながら窓の外を眺める。
…雪、ねぇな。前世の皆は元気か、ガララッ!ドンッ!カラ…。
「朔人ー…!!」
「さすがジローさん。センチメンタル許さない空気クラッシャー」
教室のドアをそんなに乱暴に開け放たないでください。一回跳ね返って反動でまた半分以上閉まってます。
「朔人も、沖縄行くんでしょ?嬉Cー!」
「ちょっと、誰か通訳!通訳を!」
何故、沖縄。俺が?も?ちょっと意味がわからない。
「ジロー、急に走ってった思うたら、何してんねん」
「あ、忍足!だってだって、朔人も一緒とか絶対楽しいCー!」
何故か忍足も現れた。カオス。俺一般人だからこの流れに付いていけてないよ!
「朔人君?ごめんな、ジローが」
「いえ。ただ、沖縄とは何のことか説明して頂けませんでしょうか?」
「なして敬語?せやなぁ…まず、跡部が避暑地ならぬ避寒地に持っとるらしい沖縄の別荘に、テニス部の仲良いメンバーで遊びに行くことになってな?」
「はぁ…」
金持ち死ねばいいですね。
「それに岳人が友達一緒でええか言うて」
「何故に?!テニス部だけで行けよ!俺アウェイ過ぎるだろ!」
「えー!朔人も一緒に行こうよー!」
「ジローちょっと黙ってろ」
俺が凄むとジローはしょぼんとした顔で床に体育座りした。
ジローが話加わると、我が道行き過ぎてて面倒臭いことになるから仕方あるまい。
「なんか岳人が、友達が旅行行きたい言うてたからて」
「岳人さん、意味違う!」
それは跡部と暑いの苦手な共通点から、ロシアに行くのが重要であるボケで、そもそもボケを実際の旅行に引っ張って来ないで!
てか、避寒地とか持ってる時点でその共通点さえ無くなったようなもんだ!
テニス部と一緒に沖縄旅行in跡部の別荘とか、そんな夢小説的展開は願い下げです!俺男だし!恋愛フラグ立たないしね!
「ってわけで、俺は行きませんので。勘違いがあったようです。岳人にも後で伝えておきます」
「えー…!朔人も行こうよー」
「嫌です」
「ジロー、まずまだ旅行の話し合いの途中やから戻るで」
「えー…」
なんかジロー可哀想だから、今度ポッキーでも与えてやろう。