授業中、俺は岳人と話していた。今この教室内に私語厳禁なんてものは存在しない。皆話してるし、先生諦めてるし、無法地帯やっほー!
「祭り!」
「海!」
「プール!」
「スイカ!」
「メロン!」
「かき氷!」
「途中から食い気しかねぇ!」
明後日に控えた夏休みにやりたいことを岳人と言い合って笑う。
「…岳人、俺お前と過ごす夏はこれが最初で最後かもしれない」
「はいはい、彼女出来てから言おうな?」
冷めた目で俺を見る岳人に手をグーにして堪える。今に見てろよこの野郎…っ!超かわいい彼女と毎日ラブラブしてやるからな…!
「とりあえず俺と朔人とジローでいいか?」
「イエス」
まぁジローはどうせテニス部の活動以外暇だろうという独断と偏見から、勝手にジローを含めた夏休みのスケジュールを二人で作成していく。
「ちょ、おい朔人!この氷パーティー何勝手に俺の家にしてんだよ!」
「うちのかき氷機、去年の夏に進に壊されたんだもん。許せ」
「なら仕方ねぇけど…うちは妹いるから煩ぇぞ」
「え?!見たい!むしろ見たい!」
えー、岳人の妹とか想像できねぇ!髪の色とか髪型とか、めちゃくちゃ気になる!
「かわいい?」
「うざいしかわいくねぇよ」
「じゃあ岳人に似てる?」
「それはよく言われる」
「やったぁ!かわいい!」
「…おい朔人、お前それどういう意味だ。表に出ろ」
俺が万歳して喜びを体いっぱいで表現すると岳人に睨まれた。
俺は何か言い訳しようとして口を開いたが、岳人の顔を見てこれは言い訳のしようがないと思い直し、これはいっそ岳人の顔のかわいさを力説するしかないと思い立った。
「いやいや、だって岳人の女版とか絶対かわいいじゃん!岳人も化粧したら美人だろうし!」
「嬉しくねぇよ!」
授業終了のチャイムが鳴った。
「そういや授業中だったな」
「あれ、先生泣いてる」