何だかんだで水倉君はまだしも鳳君とも仲良くなってしまった。
岳人とジローに続き、三人目か…チクショー、悔しい！

「日達先輩と話していてわかりました。金澤先輩が褒めてたのって日達先輩のことだったんですね！」
「進が俺を？何について？」
「進先輩、凄くテニスが上手い親友がいるってよく話してるんですよ！」

何それ照れる。
じゃなくて、おい！確か進って準レギュラーでもないけど氷帝じゃ強い方だったよな？そういう情報流すなよ…！

「基礎練もしばらくしてないから鈍ってるだろうし、進のそれは小学生の時の話だ。あてにすんなー」
「でもさっきそこそこ強いって言ったよね？」
「まぁ、そこそこは…」

何か俺って墓穴掘るの上手すぎじゃない？そろそろ自分を尊敬する域に達してきたんだけど。
別にあれだから。萩のスコート姿がちょっと見たかったからとか、そういう理由で提案したのが悪かったんじゃないし。単純に俺が墓穴掘るの上手いだけだし。

「小学生で大学生のダブルスに一人で勝ったって本当ですか？」

え？

「俺は立海附属中の当時のレギュラーに足怪我してたのに勝ったって聞きましたー」

いやだから、

「何でそれ知ってんの…？」
「「「本当(なの)((なんですか))？！」」」

墓穴王子と呼んでください。
萩と後輩二人が驚愕の顔で俺を見てくるのに、はは、と笑って視線を逸らす。

「…それ、進は知らないはずなんだけどなー」
「進先輩がいつも遅刻して来るからですか？」
「え…うん、まぁ」

アイツ、テニスコートで待ち合わせってなるといっつも遅刻するんだよな。お陰でその前にやってるテニスコートの使用権を勝ち取るテニス勝負は見られてない…はずだったんだけど…何でそれを長太郎君が知ってんですか？

「金澤先輩、本当は遅刻魔じゃないんですよ」
「へ？」
「最初に遅刻してから、日達先輩を驚かそうと隠れてたら、日達先輩がテニスで大人に勝ってるところを見たとかで、それから毎回遅刻って言って見ていたらしいですよ？」

…進ッ！あの野郎…！俺が毎回テニス勝負でテニスコート勝ち取ってんの知ってたのかよ？！それを白々しくも、あれ？今日もテニスコート空いてるんだ。ラッキーじゃん！…じゃねぇよ！

「１ゲームだったし、相手が油断している間に勝っちゃったし…それに大人とか立海の人もたまたま弱い人だったんだよ」
「それでも凄いよ！」

…何だろう、萩に褒められるといまいち…反論できない。

「今度絶対テニスしようね！」
「あの、良かったら俺もお願いします！」
「俺もっ！」
「……うん」

でもテニス部には入らないからね、そこだけはよろしくね。