無事四人ペアが決まった俺達は、固まって座り直し他のグループが決まるまで待った。

「で、待った結果が企画案は次の委員までの宿題で、残り時間はペアで親睦を深めるだけか」
「とりあえず自己紹介でもする?」
「あ、俺達滝先輩のことは知ってます!」
「テニス部ですから!」

長太郎(仮)とその友達の発言に、長太郎(仮)が長太郎であるおそれが高くなったなぁと俺は遠い目をした。
そういえば俺、今やっと萩の名字知ったな。

「萩って有名なのか?」
「レギュラーでもないんだけどなぁ」
「でも準レギュラーじゃないですか!」
「今レギュラーに一番近い準レギュラーだって、皆さん言ってますよ」

一年生二人の萩への称賛を聞きながら、俺は感心していた。
萩って凄いんだ。女子テニス部も、確か結構人数いたよな?まだ二年なのにレギュラーに最も近いのか。

「萩、今度一緒にテニスしようぜ?俺これでもそこそこ強いんだ」
「そうなの?なら、是非お手合わせ願いたいな」

萩が好戦的な顔で答え、そのギャップに胸キュンした。なんかどんどん泥沼化してる気がするのは俺だけだろうか?

「あの、先輩もテニス部なんですか?すみません、先輩のことは覚えていなくて…」
「いや、俺は部外者で帰宅部だから。ほら、格好もジャージじゃないだろ?名前は日達朔人。さっきは微妙な空気作って悪かったな。まぁ、よろしく」

なるべく最初の印象を消そうと柔らかい笑顔で俺は後輩二人に対応した。
ちなみに、委員会は部活のある生徒はジャージで参加してもいい決まりになっている。だから萩も後輩二人もジャージ姿だ。

「いえ、むしろ俺が何か気に触ることをしていたんでしたらすみませんでした!俺は鳳長太郎っていいます」
「おい鳳、何の話だよ。…あ!水倉優児です!よろしくお願いします!」

礼儀正しく挨拶した二人に、俺は笑顔を崩さず脱力した。
うん、いい子だよな二人共。長太郎(仮)が間違いなく長太郎だと発覚したけど。鳳君か、確かにそんな名字だった気もする。鳳とか、鳳凰(ほうおう)の漢字でしか見ることないよなぁ。
しまった、わかりやすく現実逃避していた。

「いや、意識半ばだっただけだから気にすんな」
「それなら良かったです」

鳳君の笑顔に、これは違うと気づかれてるとわかったけど、此処でせっかく収まった話をまた荒立てるのも難だから此方も気づいていないふりをした。
萩と水倉君も気づいてなさそうだし、確執になる程の話でもないしな。

             


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