帰りのSHRは終わったが、今日はまだ帰れない。何故なら初日の委員会があるからだ。ぶっちゃけなくてもめんどい。

「お、朔人じゃん!朔人ー!」
「おー、進か。久しぶ…り?!」

懐かしの幼なじみ、進の声に振り返った俺は、その姿を視界にとらえた瞬間、体を硬直させ鞄を床に落とした。

「何やってんだよーっ!感動か?俺に会えたあまりの感動にか?」
「はいはい、進は少し黙ろうね。えっと、朔人君…?大丈夫?」

綺麗な声に容姿、しかも俺を気遣うその優しさ…進の隣で首を傾げる彼女の姿は、あまりに完璧だった。
え、この美少女って進の彼女?何、コイツ彼女居んの?俺には今彼女居ないのに、このテニス馬鹿には居んの?!

「進を一発殴ったら大丈夫な気がする」
「俺何かしたか?!」

進は降参、と両手を上げながら俺から逃げるように後退った。
理不尽だとはわかりつつも、止まらないこの怒り…やるせなさ…進ムカつく。

「はぁ…惨めだからやめた。進、何委員になった?」
「おおぅ?あーっと、報道!」
「っぽいわー」

報道って確かインタビューとかするんだろ?向いてそう、向いてそう。

「朔人は?」
「文化」
「文化活動?なら一緒だ」
「ああ、萩って文化だっけ?じゃあ二人一緒に行けば?俺、委員会の教室この上だから!じゃ、またな!」

俺と萩さん?が同じ委員会だと判明するや否や、進は相変わらずゴーイングマイウェイに話を進めると、さっさと走って行ってしまった。
俺は萩さんと目を見合わせ、苦笑した。

「進がいつもご迷惑おかけ致します。俺も迷惑かけられてんだけど」
「進って昔からあんな感じ?」
「ああ、アイツは三歳の時から変わんない」
「あはは!そうなんだ!」

萩さんは綺麗に切り揃えられたぱっつんの髪を揺らして笑った。
…進の彼女っぽいけど、いい子そうだし友達になれそうだからいっか。

             


「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -