綺麗な黒髪のお姉さんが自動販売機の前でため息を吐きました。アナタならどうしますか?
俺の答え。そりゃ声掛けるに決まってる。
「どうかしたんですか?」
「ん?」
振り返った彼女は、ちょっとキツめな可愛い子……いや、男?うん?声…は女の子なら低めだけど微妙なとこだし、胸だけじゃ判断出来ねぇし、ジャージだから男女差微妙だし。
…わからん!
「…何か困ってる?いや、自販機の前だし理由はわからなくもねぇんだけど」
「ああ、ちょっと財布忘れちまったんだよ」
口の悪さ的に、男?あああ、もうそれが気になってぶっちゃけ話どころじゃない!
「200円ぐらいやるからさ、一個質問いいか?」
「いや、それは悪い」
「いいから質問させてくれ…!」
もう、200円でこのもやもやが解消されんなら安いもんだから…っ!
若干引かれているようにも見えるが、俺は気にせずポニーテールさんに詰め寄った。
「な、何だよ…」
「聞きたい事は一つ…性別は?!」
「…は?」
眉を寄せながらもぽかんとした顔でポニーテールさんは俺を見た。かなりの間抜け面だが、女の子だったとしたらこれはこれで可愛い気がしてくる不思議。
「で、どっち」
「…男」
凄ぇ顔で睨まれた。
コイツの真顔睨みマジ怖ぇ。うっかり土下座で謝るとこだった。ポニーテールなのに。後ろ姿可愛いポニーテールなのに。でも顔爽やか系だから多分サッカー部だな。
「…ほら、200円だ。俺の事は忘れてくれ」
「いや、そうはいかねぇだろ」
100円玉二枚を差し出し風と共に去ろうとした所を、男にガッチリと腕ごと掴まれ脱出不可能の状態に追いやられた。
「あの、ほら、200円以上は出ねぇッスよ」
「要らねぇよ」
キャー、男前ー。ポニーテール可愛いのに!クソッ!
「幾つか質問がある」
「一問200え…いや、サーセン。タダでいいッス。サーセン」
だからアンタの真顔睨みマジ怖ぇよ。軽いボケも許されねぇじゃねぇかよ。
こうして、よくわからんまま恐怖の尋問タイムが始まった。