とりあえずホームルームが終わり、向日とのドラハン話が一段落ついたところで、俺は悩んでいた。
しまった、まさか向日と仲良くなってしまうとは…。だってドラハンが…ああでも跡部とか忍足とか跡部とか跡部とか跡部とかと関わりたくねぇ…!
どうにか誤魔化せないものか。
「向日って何か部活やんの?」
我ながら白々しくも聞くと、向日は誇らしげにおう、と頷いた。
「テニス部」
「へー、テニス前からやってたのか?」
「まぁな。レギュラー入りしたら日達も俺のプレイ見に来いよ」
「大会勝ち進んだらなー」
ぶっちゃけここまでのくだりはどうでもいい。問題はこの後だ。
「あの新入生代表居んじゃん。テニス部入ったんだよな?俺、アイツ苦手」
よっしゃ、言えた!これで前置きしたから俺と跡部が関わる事はねぇだろ!何が俺様何様跡部様だ!俺様が一人称ってアホか!アホ部か!…もう認めるよ…嫉妬で悪いかチクショー!
「ああ、跡部な。でもテニスはマジで強かったぜ」
「へー」
「…本気で嫌いなんだな、お前」
最大級の棒読みで流せば、向日は苦笑しながら話すのをやめた。作戦は成功した模様だ。
「まぁ、授業中絵しりとり回すぐらいには仲良くしようぜ」
「お前…!」
笑い出した向日に、教科書の絵をいかに面白く出来るかの対決でもいいぜー、と畳み掛ければ向日はさらに笑った。
「お前とは仲良くなれそう」
「おう、とりあえず一年間はよろしくな」
俺と向日は冗談半分に堅い握手を交わした。それから二人で目を合わせて笑う。
あーあ、俺テニプリキャラと仲良くする気なんてまるで無かったのに。