「おい、担任来たぞ」

正直、女の子に起こしてもらいたかった。
折角の親切に対して相当失礼な事を思いながら、高めなものの親切な男の声に顔を上げる。
…あー、目でかいし可愛い。これで女の子だったら最高だったんだが。

「サンキュ」
「どういたしまして」

そう言って親切な彼は俺の席を通り過ぎ後ろに歩いて行った。通りすがりに起こしてくれたのか、良い奴だ。
それからすぐ、後ろに誰かが座った音がして俺は反射的に振り向いた。

「あれ、後ろの席の人?」
「まぁな」

にやりと笑った顔はやっぱり可愛いが、俺の第一印象は親切な男前だな。
…いや、それより聞きたい事があるんだが。

「名前聞いてもいいか?俺は日達朔人」
「向日岳人だ、よろしく」

はい、来た。テニプリキャラとお知り合い…やめてー。
いやな、前髪Vカットでおかっぱで濃い小豆色な髪型とかそりゃ向日以外ありえねぇよ?でもさ…今からこれまでのくだり無かった事に出来ますか?俺、あんな濃い集団と関わりたくないのに。

「日達、何でそんな眠そうなんだよ」
「あー、徹夜でゲームやってた。ドラハン2」
「マジで?!」

声のボリューム三割増しで叫び、席から立ち上がった向日に教室中が注目する。向日は担任に軽く謝りすぐ座り直した。

「日達もドラハン好きなのか!」
「え、って事は向日も?」
「モチ。まさかこんなに早くドラハン仲間に会えるとはな…!あれ、わりとマイナーじゃん」
「だよなー!あんな面白ぇのに!」

いつの間にか俺と向日は、担任の話そっちのけで小声ながら盛り上がっていた。

「向日、何処まで進んだ?」
「ルナと洞窟で鍵探してる」
「ハッ、勝った!俺その次の村でルナとイベント中!」
「マジか!あれ、鍵何処にあるんだよ!」

ドラハンの話が終わった頃には、無かった事には出来ないぐらい俺と向日は仲良くなってしまっていた。

             


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