ああ、ホグワーツ懐かしい…なんて思う暇もなく降り積もるストレス。
何だ、リドルお前モテるのか。お前の腕の中に居るだけで、好意的なものや好奇の視線は未だしも嫉妬の視線が私に刺さるぞ。
顔は良いかもしれんが、お前大概自分勝手で少し傲慢な所あるのになぁ。

「リドル先輩、相変わらずですね」
「…オリオンもね」

ああ、隣のオリオンのせいでもあったか。

…いや、待てよ?よく考えればこれから夕食の席である大広間に動物を抱えてきたリドルが悪いんじゃないか?リドルは普段から魚は魚でも人間のものと同じく焼いて軽く味付けたものをくれていたし、私は色々と人間の食べ物を食べてきた。
よく考えれば、いつも私と一緒に同じような食事をとるリドルがおかしい。この場に私がいるから余計目立つんだ。

「…にー」

たす、たす。
リドルの腕を優しく叩き、降ろせとアピールする。私は空気を読もう。
リドルが戸惑いがちに私を腕から離したため、私は一目散に大広間から駆け出した。

「え、わ!ちょっと、猫…!」

おそらく私がリドルの部屋をまだ知らない上、城内が広いから迷子になるだろうと思って私を引き留めるように声を掛けてきたリドルに、私は一度振り返った。

「にゃー」

心配するな、ホグワーツは私の庭のようなものだ。
今度こそ一目散に大広間を出た。

途中すれ違った幽霊が誰かに似ていて、首を傾げた。…ああ、そうか。ロウェナ・レイブンクロー。寮の名と同じで紛らわしいからロウェナと呼んでいたが、特に親しかったわけではない。
だが…似ていたけど違ったな。他人の空似か、血縁者か…どちらでもいいか。

「にゃあ」

軽く息を吹き、魔法に変えて炎を出す。
猫になってからもはや約一ヶ月、最初の頃より魔法が使えるようになってきた。この調子で行けば三年もすれば……猫の寿命は何年だったか。

さて、まさかスリザリン寮の場所は変わっていないだろう。前と同じ地下一階のはずだ。
私はリドルを待つため、寮の前に向かった。

…リドル、ちゃんと私のご飯持ってきてくれるだろうか。

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