飛び起きると、窓から朝焼けもまだ差し込まぬような夜半と早朝の丁度間のような時間だった。
汗で毛が湿る。嫌な夢だった。

いや…かつて確かに自分が経験した事を振り返っただけだったのだが。

「にー、…にー」

リドルの包まっている布団を前足で揺らす。
リドルは一見真っ直ぐ仰向けに気を付けの姿勢でもしていながら寝ていそうなものだが、私と一緒に寝ない時はその実猫のように蹲り丸まって眠る。今まで何があったか知らないが。

「…ん、どうしたのリーラ。何かあった?」

何も。
私は本当に信用があるようだな。

「…リーラ?」

リドルの布団に入り込む。まだ身体は暑いから布団は本当は要らないんだが、リドルの体温なら悪くない気がした。

「寝るの?」

寝ないさ。寝直せる程まだ心拍は収まらない。
お前の顔が、アイツと重なる。

なぁ、リドル。どうしてこの私が初めて会ったはずのお前にあっさり付いて行き、ましてや飼われるなんて自分の生涯を預けるような真似をしたと思う?

先祖返りだろうか。恐ろしいな。本当に似ていた。これだけ時が過ぎて面影を感じる程似てる、なんておかしいだろう。

「僕はね、この世界でただお前だけを愛しているよ」

うん…。

前世、それと似た事を言ったお前とそっくりな奴が、私を殺したよ。
でもアイツのその言葉に偽りは無かったんだろう事は、今の私には信じられるよ。

早くリドルに、私以上に愛する彼女でも何でも出来れば良い。私がまた馬鹿な事を繰り返す前に。

「みゃあ」

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