最近、生温い感情にばかり触れて私の頭までおかしくなりそうだ。
その点エバンと居るのは楽だ。私に対してさえ敬語で丁寧に接してくる。猫になってからというもの壁を作らず接しられる事ばかりなので、こういうのが居ると私としても色々とやりやすい。

「にゃー」
「リーラ様、どうなさいましたか?」

わざわざ図書室で一人静かに本を読んでいたエバンの元まで行き一声鳴けば、エバンは少し驚いた顔をして机に本を置き私を丁寧な手つきで抱き上げると、小声で聞いてきた。
いや、特に用はない。お前に会いに来ただけだ。

「…」
「にん」
「……すみません、俺猫の言葉はちょっと…リーラ様は聡明でいらっしゃいますので、宜しければ行動で意思を伝えてくださると有難いのですが…」

本当に糞真面目だな。無視して本でも読めばいいものを、わざわざ視線まで合わせて頼むとは。

「みゃん」

このまま何もしないでいるとどんどんエバンが困り顔になってしまうだろうというまず間違いない未来予想図が浮かび、私はエバンの腕から抜け出し床に飛び降りると、付いて来いとばかりに振り返り一鳴きし小走りに図書室を出た。

着いた場所は、ギリギリ立ち入り禁止の森に入らない、木立の隙間から湖とホグワーツ城が美しく見える恐らく生徒の誰も知らないだろう穴場スポット。

「う、わぁ…夕日が丁度湖に、此処ならきっと月も見えるだろうし、凄い…」

景色に感動しているらしいエバンに、私はしてやったりと小さく笑いその場に腰を下ろした。続いてエバンも隣に座る。
おいおい、お前貴族だろう?普通に草むらに座っていいのか?

「リーラ様、ありがとうございます」
「にゃ」

私に笑顔を向けたエバンに、小さく鳴いて返す。
これだけの好青年、モテそうなものなのだが、リドルと違いエバンの周りに人は集まらない。いっそ避けられている。いや、理由は明確なのだが。

「あー、此処に敵の一人でも居て湖をさらに赤く染めながら拷問出来たら…断末魔もよく響いてきっと素敵ですよね」

異常性壁に同意を求めるのはやめろ。お前はそろそろその考えがおかしいと自覚しろ。
生温い感情もアレだが、これもこれで刺激が強過ぎるか…。

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