はぁ…リドルがまた何処かに遊びに行くようなので魔法で人間の姿になり隠れて付いてきたはいいが…どうしたものか。
リドルの配下達の会話から、今回の舞台の屋敷が名家ブラック家だと気づいてしまった私はうーんと首を傾ける。
どうやら今日はマグル狩りではなく作戦会議だったらしい。それはいい。
オリオン、と言うかほとんどのブラックの奴は問題ない。ただ一人なぁ…確かアイツ、何か用があって家に帰っていたはずなんだよ。その時を狙うかのような…いや確実に狙ったこの集まり。
困ったなぁ。私、あの玩具の事、結構気に入っているんだよ。
私は猫の姿に戻り、リドル達より先にブラック家の中へ潜り込んだ。一部分壁は破壊する事になってしまったが、まぁ構うまい。
慣れた魔力の気配なら簡単に辿れる。私は今アルファードの居る、恐らく自室だろう部屋にリドル達が来るより10分は早く到着し、再度人間に変身してドアを蹴り飛ばした。
「っな?!テメェ誰だ…!」
無礼にも杖を向けるアルファードに、何一丁前に威嚇してるんだ小型犬、と鼻で笑う。アルファードのこめかみがぴくりと動いた。
相変わらず短気でからかいがいのある奴だ。これだからまだ殺されて欲しくない。
「弱い癖に粋がるなよ。そんなんだからリドルに目を付けられる」
「リド…ル?」
状況がまるで掴めていないように、何故リドルの名前が出てきたんだと解りやすく混乱しているアルファードにやれやれと呆れる。
勝手に気づいて勝手に逃げてくれれば一番楽だったんだが。仕方ないな馬鹿だし。
「アルファード」
「何で俺の名前…いや、待て。その声、何処かで…?」
「貸し一だ」
にやりと笑った私に、アルファードは目を見開く。
「お前、まさか――」
言い終える前に私は手をかざし、魔法で強制的にアルファードをホグワーツ近くへと飛ばした。
他人を強制移動させるこの魔法は、姿眩ましというよりは移動キーに掛けられた魔法に近い。集中力と想像力を使うからあまり好きではない。そう使う機会も無いだろうからいいんだが。
さて、私も帰ろうか。猫の姿で見つかった時の問題も中々だが、この姿でもオリオンに見つかると面倒だ。
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