リドルのベッドで寝かけていたら、帰ってきたリドルに突然尻尾を掴まれた為、軽く引っ掻いてやった。当然の制裁だ。

「…お前、前から思ってたけど全然僕になつかないよな」

睨みながら言われ、私ははぁ?と呆れと馬鹿にする中間のような視線をリドルに送った。
何故この私がリドルになつかなければならないんだ。なつくなんてものは守られるような立場の弱小が上に媚びることだろう?私がそんな事をするに値する人間をそもそも見たこともない。

「ほら、猫じゃらし」

何を思ったのか、リドルは私の前でいつの間に買ったのか白いふわふわしたものが先端についた猫じゃらしを振り始めた。
私はそれに一瞥もくれてやる事なく、リドルを呆れたように見続ける。

「…」
「…にゃあ」

よく解らんが、私を普通の猫として扱ってみたんだろうか。やるだけ無駄だ。やめろ。
リドルは考えるような顔をした後、自分もベッドに上がってきた。

「おいで」
「……にー」

リドルは何がしたいのかと呆れつつも、言われるままに広げられた両手の所まで歩く。瞬間、リドルに抱き締められるように撫でられた。
…なんだ、珍しいな。

「…」
「みゃー」

何かあったのかと、仕方なくしばらくされるがままに撫でられてやる。

「オリオンが、リーラがなついたって…リーラは僕の猫だろう?」
「…」

…餓鬼か。
猫の事で嫉妬するとか、阿呆か。貴様は変な自慢されて何を素直に妬いているんだ。だいたい誰がオリオンごときになつくか。真に受けるな。

「にゃぅ」

そろそろ撫で回されるのが鬱陶しいので、リドルの腕から抜け出し私はその左肩に飛び乗った。
そして後ろ足はリドルの左肩のままに、リドルの首の後ろを半周回るよう右肩に前足を乗せた。

「っうわ!リーラ、危ない!」
「にゃん」

私を落とさないようにと首を前に倒し声を上げるリドルに、私は仕方ない奴だと子供を見るようにリドルを見て、その頬を舐めた。

「え?」
「にゃー」

すぐに飛び降り、また寝る体勢に入った私へとしばらくリドルからの視線を感じたが、気にしない。私は寝る。
…まぁ、嫌いな奴相手に顔は舐めないだろう。お前もさっさと寝ろよ。


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