最近の私のお気に入りはスリザリンの談話室の暖炉前だ。
人目につきやすいゆえに私がリドルの猫だというのも有名なため、暖炉前を独占していようが誰も手出し出来ない。
「トム君の猫ちゃーん」
女はうざいが。
猫になってから、純粋な動物好きと動物を可愛がる自分に陶酔しているナルシストとの違いが一目で解るようになった。分を弁えないナルシストは嫌いだ。触られたくない。
私は女の手が私の毛に触る直前、その脇をすり抜けるようにかわし、そのまま早足に女から離れた。
「あ!待って猫ちゃん…!」
…何が猫ちゃんだ、鬱陶しい。
私は談話室をぐるりと見回し、一番使えそうな奴の膝まで走り飛び乗った。
「ぅえ?!」
「にゃあ」
「…おわ、リーラか!相変わらず美人さん…!えー、いつの間に俺になついたの?かわいいなぁ」
にやにやとさっきまで談笑していた奴等をほったらかしに私を撫で回すオリオン。
オリオンにほったらかしにされた連中は、友人と呼ぶにはオリオンより地位が下だろう空気を感じるから問題無いのだろう。
私を通してあわよくばリドルとお近づきになりたかったのだろう女が恨めしそうに此方を見ているのを無視し、私はオリオンの膝の上で丸まった。
「この俺を女避けにするなんて、リーラぐらいだよ」
私の位置と聴覚ゆえにやっと聞こえた程度の声量で、オリオンは呆れたようでだが感心したように呟いた。
ふん、当たり前だ。そしてそれが許されるのも私ぐらいのものだろう?
「にー」
お前の密かに放っている女嫌いオーラもたまには役に立つな、と鼻で笑ってやり、談話室に帰って来るリドルの足音が聞こえた為その膝から飛び降りた。
「みゃー」
「ん、リーラ。ただいま」
一周年お礼フリリク。巳神様へ贈呈
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