やっぱりあのナルシスト嫌いだ。

「あ、あの、渡一君…!」

ナルシストの風呂待ってたせいで天女に絡まれた。風呂長いんだよ馬鹿。

「…」
「あのね、時間あったらお話、」
「友人待ってる」
「えっと、じゃあその間だけでも…!」
「…」

視界に入ってこないで欲しい。不快だ。
少し癖のある黒髪に白い肌、黒渕の大きめな眼鏡、そして何より、完璧で無いのに可愛い顔。善法寺先輩に好かれるのもわかる。
ああ、駄目だ。いらいらいらいらいら。

「天女様ってさ」
「あ、私の名前ね、」
「性格も良いんだってね。料理も美味しいし仕事ちゃんとやるし、自分でアルバイトまでしてるんだっけ?」
「う、うん…」
「天女様って本当、皆に愛されてるよね」

にっこり。有無を言わせずに笑んだ。
天女様って可愛いよね。ええ、事実です。天女様って良い子だよね。ええ、事実です。天女様大好き。ええ、きっと事実なんだろ。

どろり。ぐちゃ、ぐちゃ。
愛されてる人、だいっきらい。

「渡一君の方が、人気、でしょ…?」

微かに怯えながらも、僕に好かれようと必死な天女様。ああ涙ぐましい。
僕の方が人気?ええ、事実です。僕は愛されてる。


お ま え が 言 う な !

「渡一、と天女様?」
「滝、遅い」

風呂上がりに髪を下ろしていつもより少々色っぽい滝に、僕は極自然に擦り寄った。
滝はきょとんと僕を見る。次いで真っ赤に染まった。

「え、ええ、え、渡一…?」
「なぁに?」

甘えるように首を傾げれば、許容量でも越えたのか滝は固まった。
僕が昔みたいに滝を呼んだから?それとも好意があると言わんばかりの行動とったから?僕に触られたから?きっと全部正解。

「えっと、」
「あ、天女様。僕と滝付き合ってるんだよ、あは」
「え…」

あれ、僕以外動かなくなった。
うん、滝が悪い。僕を待たせたりなんかするから。座学でわかんないとこ聞こうと勝手に待ってたんだけど。

つまり、当て付けに嘘吐いて傷つけたくなるぐらい僕はこの女が嫌いなんです。



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