いらいらいら――ブチッ――いら。
「渡一先輩、意味なく雑草を抜きまくらないでください。怖いです」
「どっか行けば?」
「嫌です」
ブチッブチグチッブチブチッ
学園の雑草を意味なく抜きまくる僕と、そんな僕をじっと見続ける伊賀崎。
伊賀崎は僕が好きらしいから、此処にいる理由はわかる。てか、僕は男にも女にもモテるし。…あ゛ー!またいらいらしてきた!
「また天女ですか?」
「……別に?別にさぁ、僕がモテるのなんて今更だし?女なんて大っ嫌いだけどいつものことだよ?あ゛ーもう!何で善法寺先輩、あんな女にっ!女なんてうざいしきもいし煩いしうざいしうざいしうざいしうざいし!ムカつくッ!」
「つまり渡一先輩は善法寺先輩らぶですか?」
「いや、先輩としての憧れ一直線」
真顔で答えると、伊賀崎は良かったですと綺麗な笑顔を見せた。
毎回思うけど、この後輩僕と毒持ってる生き物にしか滅多に笑わないよな。せっかくお綺麗な顔なんだからもっと笑えばいいのに。そしたらもっとモテて…それは嫌か。僕も女にももっと愛想振り撒けばいいのにとか言われたら断固拒否する。
「僕は渡一先輩好きです」
「うん、どうも。僕は学園が好きです」
つまり僕は、学園の均衡を崩す何処かからの間者の疑いがある天女が嫌いです。