43.5

B組来たのに仁王が居ません。俺が遅れるのはいいけど仁王は許さん!俺、おこ!

「よう、赤いの。お前ってうちのクラスの佐野が好きなんだとな!」
「は?!な、いきなり何言って?!つか何で知っ…?!」
「あずみんが言ってた!」
「…安住君か…あの人何者なんだよ」

机に突っ伏す赤いのに、まぁ確かにお前の趣味は悪いがあのテニス部のしかもレギュラーなのに佐野なんか好きになれたのは、むしろ幸せなんじゃねぇかなと思う。
サララと俺等が仲良くなるよりずっと前、よっしーを通して幸村精市と水代紗良、それに関するテニス部事情を聞いた事のある俺としては、ね。

「菅野はよく色んな女子と噂立つよな」
「まぁの!!」

威張って言えば赤いのに褒めてねぇよと呆れた目で見られた。

「お前本命とか居ねぇの?」
「特に」
「あっそ。別に水代さんが本命でしたとかじゃねぇんだ」

おや?菅野も、プレーンヨーグルト(…ん?ぶれーん、だっけ?)なあずみんとか情報提供よっしーが付いてなきゃバカだし絶対知らなかったから人の事言えんけども、もしやようやく赤いのもテニス部のおかしさに気づいたのだろうか?
あのテニス部は、見た目よりずっと色々と、アレよね。

「本命とかってより、実際サララは絶対、俺と付き合うのが一番幸せになれると思うけどねー」

赤いのが意味わかんねって顔した。だから貴様は俺と同じバカなんだ!
切原応援してるよっしーには悪いけど切原はサララの相手として論外だし、仁王もその辺は切原と変わらんし、幸村は…俺はよく知らんし何考えてんのかもわからんけど、仁王から話聞く限りちょっと違う気がするし。てかすっげー個人的な理由だけど、幸村ではあって欲しくないってのがある。
でもあずみんが、根っこから解決するにはサララと付き合うのは俺タイプじゃダメって。ぶー。


「曜一さん、すまん!!です!!」

教室に駆け込んで来た、あずみん曰く俺と居る時はキャラ崩壊パない仁王に、わざとらしく頬を膨らませた。

「俺との約束忘れる程の事でもあったん?」
「ああ、ちょっと…」
「ふーん。まぁ詳しくは後で聞こう。裏庭行くぞ!」


はい場面飛んで裏庭!

「で?お前はすーぐ溜め込んでうじうじする。今回は何よ」
「…曜一さんにはやっぱ敵わんの」

ふん、俺に一瞬でも敵うと思う方が愚かなのだ!
で、諦めたらしい仁王が全部明かした話の内容を軽く俺なりに纏めるとこうだ。

仁王は幸村に頼まれてサララを気に掛けてたんだけど、仁王としてはやっぱりサララには幸村とやり直して欲しくて、だから昨日サララに別れた理由聞いたら教えてもらえなかった上にそれを幸村にも言ってないって言われて、こんな女の味方にはもうなれないむきーっ!なう!って感じ。

「とりあえず、サララは色んな人から嫌われようとしてるから、サララの悪い子な発言は全部丸っとは信じない方がいいぜ…ってあずみんが言ってた」

菅野は突っ走りやすいから先に言い聞かされてるのです。
俺の忠告?に、仁王はなんか知らんけど一気に顔を暗くした。…うわ、はいはい出ましたダークサイド仁王。

「…なぁ、俺が水代さんを嫌いって言ったら、曜一さんは水代さんの事も嫌いになってくれる?」


どうしてそうなった。
…ん?あ、そっか!そういや俺が切原嫌いなのって仁王が切原好きで居る為だっけ?すっかり忘れてたわー。これってあの時と同じ感じの流れ?
でもさー、だからって何なのそのぶっ飛んだ考え方。なーんでそうごちゃごちゃ勝手に考えて結局変な考えで落ち着かせるかなー?めんど。ダークサイド仁王めんど!

「ムリ。俺、サララ好きだもん」
「……そうか」

きっぱり答えた俺に、仁王は拳を強く握りしめた。
ふん、先走りバカめ!俺にもブーメランだがな!

「てか、そもそもお前サララ嫌いじゃねぇじゃん。仁王は嫌いな奴には絶対嫌いって言わねぇしょ?」

仁王の空気が揺れる。呆然と見開かれた目を見る限り、どうやら自分で気づいてなかったらしい。
菅野、頭の良さも勘の良さも無いけどこーゆーのは出来るからね。なんつーの?人間観察?ゲーム的に言うと、経験からのAI予想。勝負勘にも近い?
まぁだいたい、俺が興味あるちゃんと観察してる奴にしか発揮されねぇんだけど。仁王はほら、付き合いの長さならよっしーとあずみん以上だし余裕でわかるわ。

「…嫌いじゃなきゃ、あかんはずなんに」

自嘲ぎみに呟いた仁王に。あーまたむつかしー事考えて勝手にへこんでるわーと当たりをつけて、あくびした。
真剣な相談中とか知らねぇわー。生理現象だし、俺相手に相談なんてした時点で俺に対しても真剣さ求めんのはやめてほしーですー。後まともな答え出すのもムリですー。
そもそも、俺に相談なんて仁王以外しねぇだろうけども。

ああでも、俺は正直者なので仁王に文句は一個あったな。

「お前、見ててクソうぜぇからそろそろ言い訳すんのやめたら?」

菅野曜一14歳、オブラートの意味はわかりません!お菓子の種類とかかなっ!

                


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