27.5

なーんだ、サララ自殺じゃなかったんだ!俺の早とちり!てへぺろ☆



で終わらせられる話だったら幸せだと思うんだけどなぁ。
いやね、まぁ普通なら間違いなくはい俺ってばお馬鹿さん!って話なんだけども…悲しいかな、俺が俺で吉村達郎である以上、それは普通とは言えないんだよね。


幼稚園ぐらいの頃が一番凄かった。
俺はばば抜きで負けた事が一度もなかった。それに神経衰弱、後ポーカーにブラックジャック。
つまり…俺は勘が良過ぎた。

ある日離れて暮らしていた祖父の急な心臓麻痺を俺が言い当てた。おじいちゃんがしんじゃう、おかあさん、おかあさん。
それから俺は少しの間超能力者と言われて、ついでに気味悪がられるという余計な特典つき。

今じゃトランプは人並みだし、日常生活に何の支障もない。勘が弱まる前でも、超能力者として家とか幼稚園とか色々あったから自然と隠すようにしてたし、別に家庭環境最悪とかでは無いんでご心配なく。

ただ…嫌な予感は今でも感じる。全身、と言うか脊髄辺りにびりっと痛みの無い電流みたいのが走る感覚。何とも居心地悪い。
今日の朝、電流と共に早く起きた俺の頭にサララが過った。だからサララに死ぬ気が無かったとしても、今日きっと何か良く無い事が起こる。
それは俺の中で気の所為で済ますにはあまりにも過去に実績の有り過ぎる、予言に近いものがあって。

「サララって何となくテニス上手そうだよね」
「あーそれ解る」

話に加わりながらもサララを注視する。
じいちゃんが死んだ時程嫌な予感じゃなかったけど…てか、あんなのあれ一回きりだし。

「うーん、どうだろう」

一瞬、サララは何処も、何も見ていない目をした。消えそうだ。今じゃなくても、これを根本的にどうにかしてやらないと、いつかきっと消える。
本当に一瞬だけだったそれは、きっとサララの知られたくない事だとは解る。隠して隠して隠し通して、そんで耐え切れなくなってたった一人誰にも知られず消えていくのを望んでいるのかもしれない。

どうにかしたい。どうにかしなくちゃダメだ。
もうあのじいちゃんの時みたいに、知ってたのに何も出来ずに、消えていくのを零すのは嫌だ。

大丈夫、今も俺にはこの人より少しだけいい勘ぐらいしかないけど。俺の隣には最善策を弾き出す無敵の頭脳あずみんと、人の十倍の体力で不可能を可能にする最強野郎菅野ちゃんが居る。
もう後悔なんてしてやんねぇ…!

                


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