25

日曜日は丸一日怠惰に寝こけた私は、月曜日無駄に早起きして学校に行った。
どこか思考はぼんやりとしている。理由は分からない。知らないけど。

久しぶりにテニスをしたせいか、流石にこんな朝早くに人は居ないだろうとテニスコートを見に勝手に足が動いた。
それで女子のコートじゃなく男子のコートに行くのは、習慣か頭に染み付いてしまっているのか変えたくないのか…ああ全部同じ意味だった。

「水代?」

この声には聞き覚えがあった。
振り返ると、やはり。なんだ、柳君の時も思ったけど、意外と幸村君と一緒に居なくても覚えてるもんだな。

「真田君。久しぶり?おはよう」
「ああ、おはよう。…何か用か?」

嫌な緊張感と気まずさだ。私だけが感じているものではないだろう。
私もその質問は少し返答に困る。誰も居ないテニスコートを見ていた私も悪いし、真田君らしいけれど。

「早く来過ぎて、色々見て回っていたの」
「そうか」

一応は納得してくれたらしい。それにしても真田君は来るの早過ぎだろう。もう君は引退してるのに断トツ一番に来てるってどういう事だ。赤也君部長としてやりづらいんじゃないか?
真田君が顔を顰めているのを見ると、これか弱い女の子だったら泣いちゃいかねないよなぁと、失礼だけど事実を思う。何か言おうとして迷ってるんだろうな。
じゃあ私はそろそろお暇しようか。

「ごめんね、引っ掻き回して」
「…」

真田君はやっぱり何か言いたそうな顔をして、でも何も言わなかった。言えなかったかな。申し訳ない。
校舎まで歩き出すと、後ろでフェンスのがしゃんという音が鳴った。私って立海テニス部にかなりのマイナスな存在じゃないだろうか。

                


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