※シリウス成り代わり
ジェームズがリリーと付き合い出した。へー、恋人ねぇ。
俺は普通に祝福した。
ジェームズがリリーと結婚した。ふーん、結婚か。
俺は普通に祝福した。
「シリウス、前から気になってたこと一ついい?」
「何だよリーマス。んな勿体振って」
不死鳥の集まりの帰り、リーマスに呼び止められた。あーあ、早く帰りてぇのに。だってジェームズ居ないし。
予言だかなんだか知らねぇけどさ、ジェームズが此処に来ないのは大問題。まぁ、俺が秘密の守り人だから会えるけど。
俺の世界は、ジェームズ・ポッターが居て初めて機能する。
何故?んなの、アイツが神だから。理由はそれで充分だろ。
「シリウスってジェームズ好きだよね?」
「おう」
何を当たり前の事を。
「あのー…それってさ、恋愛的意味で?」
「は?」
俺は、その質問をしてきたのが友人なのも忘れてリーマスに殺気を出した。
リーマスは訳がわからないといった顔で俺を見返す。
…ああ、俺が俺じゃなくただのシリウス・ブラックだったら、確かにその質問は笑い飛ばしたかもしれない。んなのあり得ねぇだろ、と。
「違ぇよ」
「…うん、そうだよね。ごめん変なこと聞いた」
「ああ、だいたい恋愛とか友情とかんな次元で考えんなよ。俺のジェームズへの感情はそんなんじゃねぇ」
「へ?」
きょとん、と俺を見て阿呆面するリーマスに、笑った。
「アイツ程崇高な人間を、俺は知らない。正直、アイツが闇の帝王やってたなら俺は迷わず付き従ったさ」
「ちょっと、シリウス何言ってるの…?」
「ああ、冗談」
「へ?は?…はい?!」
俺はにっこり笑って、混乱するリーマスを後目にジェームズの家に歩いていった。いや、途中姿眩まし使ったけど。
さっきの言葉は、無論冗談なはずがない。
だけど、俺はジェームズの素晴らしさを無闇に布教したいわけでもない。
ジェームズの素晴らしさは、俺だけが理解していればいい。
その感情の名前は愛。
それ以外の名称は要らない。
「よう、ジェームズ!ただいま!」
「はは、君の家じゃないだろ?おかえり」
お前が死んだらその場で俺の心臓も抉ってやる。