「じゃーん!見て見て雷蔵!髪で作ったネコ耳にゃーん!」
俺が一時間の試行錯誤の末作り出したネコ耳髪で雷蔵の部屋の襖をすぱんと開けると、雷蔵は俺をきょとんと見てから笑顔を浮かべた。
「わぁ、何それ可愛い!名前かわいい!」
「だろ?だろだろ?!雷蔵もケモミミ族になろうぜー!俺が髪やったげるから!」
「やってやってー!」
きゃっきゃと女子顔負けな盛り上がりを見せる俺と雷蔵は自分達の事ながら相思相愛バカップルですよね!
俺はすぐ座っている雷蔵の後ろに回り、立ち膝で雷蔵の髪を弄り始める。
「雷蔵髪ふわふー」
「じゃあ名前の髪はさらさー」
かわいいお花が飛び交いそうなほのぼのとした空気で、俺は自前の結い紐で雷蔵の髪を丁寧に結んでいく。
「何故かクマ耳になった…!雷蔵の髪質凄い!はい鏡ですにゃー!」
「わぁあ!凄いクマー!」
俺が鏡を見せれば手を叩いて喜ぶクマ耳雷蔵。破壊力が半端ない。
何なの俺の恋人これノリ良過ぎない?可愛すぎない?俺幸せ過ぎない?
「…おい」
俺は突然の声に驚き振り返った。
「「え、三郎居たの?」」
「何それ酷い。居たよ、最初から…!雷蔵なんて名前来るまで私と話してたでしょう?!」
「あ。名前のネコ耳可愛過ぎて三郎の存在弾け飛んでたみたい。ごめん」
「謝られてるはずなのに余計に傷つけられた…っ」
きゃんきゃん言う三郎に、俺の雷蔵が取られたみたいな気分になった。ちくしょー、三郎なんて雷蔵の髪の毛のヅラだけ残して粒子と化してしまえばいいのに…っ。服ごと消え去ってしまえばいいのに…っ。
「雷蔵、お前の恋人本気で酷いんだけど。声に出してる事気づいてる?あれ気づいてて言ってる?」
「もしくは神様的な存在がうっかりお茶を零した衝撃で、三郎の存在を構築する何かが消滅させられてしまえばいいのに…っ」
「頭にネコ耳つけてる癖に、言ってる事凶悪なんですけど…!」
うわーん、三郎うざいよ雷蔵助けてー!
俺がそんな口実で雷蔵の胸板に飛び込めば、雷蔵は優しく俺を抱きしめ返してくれた。
ちなみにただ今雷蔵が三郎に背を向ける形で俺が雷蔵を通して向かい合ってる位置関係ね。ほら、俺の雷蔵の視界に俺以外の人間なんて極力入れたくないしぃ?
「名前」
「ん?」
突然雷蔵に装束の腕部分を引っ張られて、雷蔵の方を見れば口付けられた。
やだ…雷蔵ったら三郎の馬鹿の前なのに大胆…っ。俺、興奮しちゃう…っ。
「三郎ばっか見ない」
拗ねたようにクマさんお耳の雷蔵に言われた俺の頭は爆発した。
とてもわかりやすく言うと、俺の猫耳から猫さんが俺の頭を侵食していき、発情期に突入しちゃいました!てへ!
俺は止むを得ず雷蔵から視線を外し、一度本っ当に仕方なく三郎を見た。
「さーぶろ。じゃーま」
にこっと笑えば、俺、もしくは俺達が今からナニをするのか察したらしい三郎が、一文字で言うとい゛という顔をした。
それから妬むような顔をすると外と繋がる襖まで早足で歩いて行き、襖を開け、最後に振り返った。
「リア充爆発しろッ!!」
「やだー」
はい、邪魔者が居なくなった所で此処からは見せられないお時間でーす!
あ、でも三郎の馬鹿が襖開けて行ったんだけど…公開でシちゃいますー?
「ばか」
俺のクマさん世界一かわゆー!
200000打お礼フリリク、ひなぎ様へ