我が愛しの愛しの愛しの愛しの弟が忍術学ぶ大川?山?だかなんだか学園に行ってしまい俺大号泣事件から約五年。
溢れる俺の弟愛が決壊寸前どうしようと思っていたらいつの間にか目の前に学園があった。どうやら無意識に捜し当てたらしい。自分の才能が怖い。正しく愛の才能。
「こんにちは!入門表にサインお願いしまーす」
「はいはい、了解です」
言われるがままさらさらっとサインを済ませる。この子、事務員さんかな?若いなぁ…俺より年下に見えるんだが。
「…あれ、鉢屋?」
「ん?ああ、もしかして弟を知ってるのかな?」
「…え?!弟って、鉢屋三郎君ですか?!」
「ご名答」
何だ、俺の弟有名人か。兄ちゃん鼻が高いぞ!ちなみに有名な理由は?悪名轟かせてんの?何にせよ自慢だがなっ!
「へー…!じゃあ三郎君の顔もお兄さんみたいな感じなんですか?」
「いや、この顔変装だけど」
「え?」
「はは、三郎に変装教えたのは俺だから」
まさか俺の後追い掛けて忍者になろうとするとはなぁ…なのにいざ入学したら雷蔵とかいう子にメロメロに惚れて、休みに家に帰ってきても常に雷蔵君の顔になるとはなぁ…。
まぁ俺、三郎が行くって話聞いて初めて忍術学ぶ学園なんてあったんだ、と知るぐらい適当な人間だし、三郎大好きだけど別に雷蔵君に過剰な嫉妬したりはしないよー。
なんて話していたら噂の二人が居るではないか…!急展開!これも俺の愛の才能が引き寄せたのか?!
「三郎ー!雷蔵くーん!」
「三郎の知り合い…?」
「いや、知らないな…」
はい、いつもの反応ありがとうございます弟よ。って事でその悲しみを忍技術を無駄に駆使して三郎の後ろに回り膝かっくんする事で紛らす。そんな俺って大人ー。
「いい加減兄の変装を見抜けるようになりなさい三郎馬鹿!可愛い!」
「…兄さんでしたか」
うわぁああああっ!ちょ、今の見た?!え、見えねぇよ文章で説明しろ?
だから三郎が俺が俺だとわかった瞬間、振り返って超嬉しそうににこってああもう死んでいい。
「雷蔵君も初めまして!三郎の兄の鉢屋名前です。いやぁ、話はよく聞くし顔も見慣れてるんだが、実物はさらにかわいいねぇ」
「えっと…ありがとうございます?」
首を傾げる雷蔵君かわいいねぇ。三郎のお陰で俺、君への親しみは溢れんばかりだから。
とかにこにこしてたら着物の裾を引かれた。
「兄さん、兄さん」
「うん?どうした三郎?」
「私は?」
……。
「可愛い世界一可愛い無理矢理目に入れて俺の身体破裂しても気持ち的に痛くねぇだろうぐらいに可愛い」
「へへ、兄さんは格好いいぞ!」
俺が愛をぶつけると三郎も照れながら愛を返してくれた。幸せ過ぎてもういっそこのまま死にたい。
雷蔵君の顔に変装した三郎。そしてそれを微笑ましそうに見る雷蔵君。
…。
「とりあえず俺も雷蔵君の顔になるわ」
「何でですか?!ってもうなってる…!」
「さすが兄さん…もう五年も雷蔵の顔を模している私より精巧な…!」
「お前は目の辺りよく地が出るからなぁ」
「お兄さん、そんな声まで真似なくても…」
「僕は完璧主義なんだよ」
「凄い!兄さん今の雷蔵そっくり!」
「だろ?だろ?」
こうして今日の出来事をきっかけに、学園に雷蔵君が三人に増えたという噂が広まったのであった。
面白いのでまた可愛い俺の弟達に雷蔵君の顔で会いに来よう。
一周年お礼フリリク。祐樹様へ贈呈