男主短編 | ナノ




僕は、実は昔――と言っても一年前までは、忍術学園で忍たましていた。人も殺したし、仲間の死も多く見た。

…え?現在?
忍術学園近くの町で料理屋やってまぁす!わりと繁盛してんだよー!あ、よかったら来ません?おまけしちゃうよ!

「いらっしゃーい。お、忍たま五年諸君、また来たね!」

僕の店の常連には、現在忍たまの五年生をやっている五人組もいる。最初はお昼時のてんやわんやな時に来ていたと思うんだけど、最近では客足も落ち着いている時に来るのでよく話す。
久々知君と豆腐料理についてよく語り合ったり、鉢屋君と不破君のやり取りに笑ったり、竹谷君の珍しい動物の話に感心させられたり、尾浜君の笑顔の一刀両断に驚いたり、まぁとにかくこの子達楽しいんだよね。
学園在学中は、僕同学年のしかも同じ組の奴等とばっかり遊んでたからさぁ。てかなつかれてた?それで自然と他学年とか全然交流なくて。いやぁ、後輩はかわいいねぇ。

「名前さん、聞いてましたか?」
「あ、ごめん。まったく。久々知君、なんて言ったの?」
「聞かなくて大丈夫ですよ!それと名前さん、俺のこと名前で呼んで貰えませんか?」

よくわからないがいいらしいので、とりあえず尾浜君のかわいらしいお願いに、いいよと笑顔で答える。
尾浜君の顔があっという間に赤くなった。相変わらず、五年は皆赤面症だなぁ。ちょっと喜ぶだけで真っ赤になりやがって、まったくかわいい子達だ。

「勘右衛門狡いぞ…!名前さん、私も!」
「僕もお願いします!」
「「俺も!」」
「おー、いいともいいとも」

年上のお兄さんと仲良くなりたいお年頃なのかなぁ。
…はっ!わかったぞ、こいつ等め!料理のおまけが欲しいんだな!まったく、僕もそこまで僕の料理が好きと思われたらにやけちゃうじゃないか。

「よし、甘味おまけしちゃろう!」
「さすが名前さん…!す、すす好きです!」
「な、三郎テメェ!俺の方が名前さん好きです!」
「名前さん愛してます」
「兵助?!ぼ、僕だって名前さん大好き、ですよ!」
「名前さん結婚しよう」
「「「「勘右衛門(勘ちゃん)?!」」」」

はは、現金な子達だなぁ。でも好かれて悪い気はしない。

「僕も皆好きだよ。じゃあ甘味持ってくるねー」
「「「「「…」」」」」

ただの料理馬鹿と言われ続けて16年。
僕に恋する青年達の視線を感じられるだけの恋愛経験値は、あるわけがなかった。


50000打リク:料理屋男主のほのぼの忍たま五年→夢主夢(おかだ様へ贈呈)


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