はてさてこうして、前世の愛と憎しみを忘れられず狂った哀れな男の復讐劇は幕を閉じました。
ここからはそう、男も、もちろん男の言う彼女も知らない、真実のお話。
男の前世の恋人かつ今世の恋人の鉢屋三郎君のお話。
まぁ、何を言ったところで所詮後の祭りなわけですが。
「ぃやぁああああああっ!!」
愁矢が、笑って、それで落ちて、腕が、脚が、首が、身体が、ああぁああ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ死んでないもん愁矢は、死なないっ!誰か助けて誰か、愁矢、雷蔵…っ!
――え、あれ?こんなこと、前にも無かったっけ?嘘。無い、よ。でも私、前も雷蔵に助けを求め…え?
愁矢、なんて言った…?私の、復讐?愁矢の一人称は俺でしょう?復讐って?あれ?
今日は何の日?命日?誰の…?
誰、の…?
私、本当に愁矢と会ったのって忍術学園の一年生…?初めまして?
「姉さんが死んだ…っ!お前のせいだ!お前の、お前の、お前の…ッ!」
なんであの子が、立花先輩と重なるの…?
「恋と愛を勘違いしてた私も大概だけど、アナタは本当に馬鹿。死んでから本当に好きな人に気づくなんて」
なんであの人が、雷蔵と重なるの…?
「…そう。そんなに好きな人ができたのなら、仕方無いね。私のことは忘れて」
なんで、っなんで彼女が、愁矢に重なるんだよ…っ?!
あ、あぁああああ。雷蔵言ってた。最初に、三郎は覚えてる?って。私意味がわからなくて。
立花先輩に初対面でお前が心底嫌いだって、私はそんなに深く理由考えなくて。だってわからなくて。
おめでとうって、幸せになってねって、雷蔵言った。瀬戸さんを、ちゃんと幸せにしてあげてね、って。
「っ愁矢!××!謝るから!いくらでも謝るから…っ!やだ!やだぁあああ!また、また死ぬの?!やっと会えたのに!また会えたのにっ!幸せにさせてよ!やだぁあああああああっ!!!」
まぁ、何を言ったところで所詮後の祭りなわけですが。